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もうLOVEっ!ハニー!
第2章 歓迎と予感
 華海都寮に入寮する生徒の割合は紗原学園に入学する生徒の数パーセント。
 今年のが三人というように。毎年一桁の新入生しか入らない。
 全寮制学園にしては異常なシステムだ。
 では、どんな生徒がここに入るのか。
 まず一番の理由は正規寮から許可が貰えなかった生徒。
 恐らく早乙女こばるや立木奈己のような外見に難がある者が当てはまるだろう。
 それから細峰ルカのような芸能活動が忙しくて学業に支障をきたす生徒。
 あるいはわざわざ正規寮ではなく元からこの寮を希望する変人たちだ。
 あるものは静かな生活を求めて。
 あるものは対人関係が面倒という理由で。
 あるものは趣味に没頭する自由な空間が欲しくて。
 あるものは普通の寮の食事量では生きていけないからという理由で。
 そして、私は……

「ここに入ることが誰にも知られないからです」

 隆人が片眉を持ち上げた。
 みんなが私の言葉に集中している。
 少し、怖い。
 でも、私は暴露人だ。
 言うんだ。
 きっと、今しかない。
 こうやって、真剣に聞いてもらえるのは。
「それは、家族を含めてってことですよね。私は……こばるさんや陸さんに話しましたが、今までの自分と完全に縁を切りたくてここにきました。中学までの自分はきっと底辺にいたことでしょう。家族にも友人にもそれは言えます。だから卒業式の今日、待ちきれずにここに来ました。早く……一刻も早くあの自分を切りたくて」
 しがみついていた美弥がすっと離れる。
 全員が耳を澄ませている。
 久瀬尚哉でさえ。
「まだ、答えたことにならないよ。松園かんな」
 隆人さんの声は穏やかで、力強くて、拒否できなくて。
「ですね……でも、それを言ってしまったら、結局過去の自分を引きずる気がして嫌なんです」
「新しい自分になりたい?」
「はい」
「それなら尚更だよ」
「え?」
 ぽんと頭に手が置かれる。
 身をかがめて、隆人が同じ目線になった。

「決別したいなら認めなきゃ」

 その言葉は、聞いたことないくらい優しくて、すとんと胸に落ちてきた。
 だから。
 だからかな。
 素直に口を開けました。

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