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もうLOVEっ!ハニー!
第2章 歓迎と予感

 その中で気まずそうに陸が手を上げた。
「……ついてねえ」
 私の隣で。
「あはははっ。去年もトップバッターは陸だったわね。じゃあ、青のラッキーちゃんはだーれだ?」
 そろそろと箸を引き出す。
 よかった。
 何も塗られていない。
 それを盗み見た陸が安堵の息を吐いた。
「ボクにゃー!」
 その声を聞いてすぐに固まったが。
 ルンルンとスキップ気味にやってきた美弥から顔を逸らす。
「ふふーん。やっぱり陸はラッキーボーイだね。じゃあ、まずは……ずばり! かんなに前の彼女の面影を見てないかにゃ?」
 全員が訳知り顔に陸を見る。
 前の彼女さん?
「てめっ……いきなりそれ言うか普通?」
「そんな邪な考えで新入生に近づくのは不衛生だからねー。ね? 隆にい」
 呼ばれた隆人がほんのり赤い顔で頷く。
 従兄弟に裏切られた陸が硬直する。
 それから私をじっと見て、ため息を吐いた。
「それはねーよ。美弥。誓って」
「言ったにゃ?」
 ニマアと意地悪な笑みを浮かべて美弥は陸の割り箸を奪い取った。
 その先端をぺろっと舐めて低い声でこう言った。
「もしもそれが嘘だったらボクが許さないから」
 その目は、屋上で笑んだ彼とは別人の眼差し。
 うすら寒気がするほどの、冷徹さを浮かべていた。
 陸の顔も強ばる。
「嘘じゃねえよ」
「はいはい。第二ラウンドいくわよ」
 鳴海が箸を集める。
 その間も美弥がじっと陸を意味ありげに見ていた。
 私の腕にしがみつきながら。

 次の暴露人は早速私だった。
 赤い箸を見ながら瞬きさえ忘れてしまう。
 そしてラッキーちゃんは……
「困ったな、僕か」
 管理人、隆人さんでした。
 こばるがわざとらしく口に手を当てる。
「やべーぞ。隆にいはエグいからな!」
「そうでもないよー? うーん。そうだなあ。じゃあ、かんなちゃん」
 目の前にやって来た隆人が優しく質問する。
「どうしてこの寮を選んだのか聞かせてもらえる?」
 びくりと。
 全身の神経が反応した。
 やっぱり……
 それを聞かれるとどこかで予感していた。
 言わなきゃ、ダメですか。
 ダメですかね。
 それ。
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