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もうLOVEっ!ハニー!
第17章 深い底まで証を

 翌日、宿題を進めて過ごした。
 内線で一時間ほど岳斗と話した以外は、誰にも関わらないように努めた。
 特に外に出る時には、つばるに会わないように前後を見張っていた気がする。
 心配を他所に、つばると会うことは無かった。

 明朝、約束のままに屋上に上がる。
 鍵は空いており、そっと開くと天体観測の時以来の広いフロアに出た。
 扉の隣にもたれていた清龍が鍵を閉めて、咥えていたタバコを唇に押し当てられる。
「吸えよ」
 口を開けずにいると、壁際に追い詰められて、頬を掴まれ無理やり口を開けられる。
「ほら、思い切り吸えって」
 鼻をつままれ、ずあっと吸い込んだ煙に激しくむせかえる。
 その様子を見ながら、楽しそうにもう一度押し当てられる。
「出来るだろ」
 更に煙が入ってきて、しゃがみ込んで咳をした。
 朝靄の気持ち良い空気の中で、どうしてこんなに苦しいことをされなきゃいけないんでしょうか。
 本校舎よりも低いフェンスにもたれ、清龍は手招きをした。
 隣に並ぶと、当たり前のようにもう一度差し出されたそれを、今度はそっと吸い込む。
 なんとかむせずに煙を吐き出すと、嬉しそうに笑い声を上げた。
「初タバコ、美味い?」
「そんなわけ、ないでしょ」
 否定する言葉が聞こえてないのか、ニコニコと吸い続ける横顔に拳を突きつけたくなる。
「もう十日になるけど、ガクとエッチしないで済んでんの?」
 デリカシーのかけらもない質問に頭を押さえるも、無視しては良い事がないので素直に答える。
「できるわけ、ないじゃないですか」
「へえ。可哀想なことしてるな。付き合いたてなのに、苦しいだろうね」
 他人ごとのように。
「清龍さんは、岳斗さんのことが、嫌いなんですか」
 つい出てしまった疑問に、清龍が眉を上げる。
「まさか。ガクは司に次いで大事な友人だよ」
「じゃあどうしてこんなことを……」
「それは単純にかんなを奪いたいから」
 冷たい空気が風で舞い上がる。
 一ミリも理解できない言葉に目を見張る。
「なんで、私なんか」
「あー、それ前も言ってたね。なんかじゃないんだよ。自分の容姿卑下してるだろ。それに、どんなプレイも受け入れちゃう性質も」
「なんのことですか」
「知らなくていいよ。俺は解放する気はないから」
 あまりに空気が不味いので、扉に向かう。
 意外にも呼び止められなかった。
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