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もうLOVEっ!ハニー!
第17章 深い底まで証を

 その朝、尚哉は欠伸を噛み殺して、目を擦りながら管理人室前の壁にもたれかかった。
 時刻は九時。
 隣には同じく眠そうな手毬。
「おっはよーん!」
 テンション高く現れたのは亜季と奈己。
 一歩後ろにトレーニング上がりのルカ。
 皆、学園カラーのオレンジのジャージ姿。
「陸は?」
「一足先に隆にいの車掃除」
 不在に眉をひそめた奈己に尚哉が答える。
「つばるは兄貴と一緒に移動かな」
 耐えきれずあくびを漏らしつつ、手毬が呟く。
「おはようございます」
 そこに現れたのが、唯一の一年生。
「おはよ」
「はよー、かんなちゃん」
 それぞれに声をかけてから、玄関にぞろぞろと向かっていく。
 肩周りをストレッチするように腕を組みながら、ルカがかんなの隣を歩く。
「松ちゃん、顔色悪くないですか」
「えっ、あ、本当ですか……夜遅くまでバイトしてたせいですね」
「かんなちゃん何のバイトしてんの?」
 ルカと話すのが気になるように亜季が割り込む。
「採点バイトです……」
「あー、ガク先輩が布教してる奴か。ね、ルカ」
「こばるもやってますもんね」
 そうなのか、と顎に手を当て、かんなは頷いた。
「一年からバイトなんて、欲しいものでも出来たんですか?」
 奈己が身をかがめて、意味ありげに尋ねる。
 白い髪は今日も美しく光を反射する。
「はい、旅行したくて……」
「えー、羨ましい! 奈己、計画してよー」
「高校生はラブホに泊まれないんだよ」
「やんだ、エッチ!」
 笑いを交えて話しつつ、寮の裏の駐車場に向かう。
 そこには隆人と汐里のワゴンが停められていた。
 白と黒。
 白い扉に肩をついて、隆人が和やかに手を振る。
「みんな、おはよう。一回戦勝つといいね」
 七人の寮生を前にニコリと。
 汐里は袋を引っ提げて黒い車から降りてきた。
「移動中にサンドイッチ食べてけ。野菜抜きのもあるからな」
「さすが、兄貴!」
 テンション爆上がりの手毬に笑いが広がる。
「それじゃあ、女子は僕の車に」
「おいおい、隆にい。さすがに五人はむさ苦しいって」
「それもそうだね、陸。それじゃあ……奈己か尚哉もいいよ」
 呼ばれたふたりが顔を見合わせる。
 亜季の視線に、尚哉が手を挙げた。
「俺が乗ります。カップル引き離しちゃダメでしょ」
「イッケメンじゃーん」
 本音はルカの隣を望みつつ、明るく叫んだ。
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