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もうLOVEっ!ハニー!
第17章 深い底まで証を

「全然シュート打つじゃんね」
 コーチの言葉にあてつけるように、隆人が呟く。
 陸もウンウンと隣で頷く。
 強豪校相手に点数を譲らない熱い展開に、場内の声援も勢いを増していた。
「ほら、松ちゃんも叫びましょうよ」
 足を組みつつも前のめりに観戦していたルカの言葉に、ドキドキしながら息を吸う。
「が、頑張れーっ」
 声が裏返った。
 ブフッと噴き出す音に後ろを見れば、賢の肩にもたれるようにして尚哉が笑っていた。
 失礼じゃないですかね。
「声出なさすぎだろ」
「緊張しないで、かんなちゃん。尚哉もライブでしか叫べないから」
 かっと赤くなりつつも、もう一度息を吸う。
 場内に溢れる声援のひとつとして溶け込むだけ。
 こばるにパスした岳斗が、閃光のように対角を駆けて手を構える。
 ドリブルでゴール下に近づいたこばるは、フェイントをかけてからワンバンで岳斗にパスを出した。
「がんばれーっ」
 綺麗に弧を描いてシュートが決まる。

 サラサラと前髪が頬にあたる。
 瞬きを何度しても、ぼやけた視界。
 腕を動かそうとしたが、激痛で持ち上げられない。
 仕方なく、そのまま空を見上げる。
 背中を強打したせいか呼吸も苦しい。
「よく生きてたな……」
「ほんとっすよ」
 ゲンナリした声に目線だけで横を向くと、両肘を掴むように丸まったつばる。
「お前、フェンス切ったのか」
「バカみてーでしょ。あんたも馬鹿みたいに引っかかってくれたけど」
 屋上を見上げると、ぐにゃりと一角が垂れ下がっているのが哀れに風に揺れている。
 倉庫の目の前に倒れている。
「あそこに落ちたのか」
 距離的に一度倉庫の屋根に落下し、バウンドして地面に倒れたようだ。
「そりゃ三階建ての屋上から直地面は……死ぬだろ……まあ、病院送りは確実にって思って」
「つばる」
「なんすか」
「お前、すげえな」
 すげえ、アホだな。
 清龍は笑いが込み上げてきて、背中と肺が痛くなって、さらに笑いが漏れる。
 普通思いつかないって。
 自分も一緒に落ちるとか。
 倉庫の屋根にワンバンしたからって、そこで頭打ってたら死ぬだろ。
 全身打撲、骨折もいくつだ。
 ゲホッと咳をすると全身が焼けるように痛い。
「まだ、やることあるんで」
 つばるが気合いを込めるように息を吐き、ぐっと腕をこちらに伸ばしてくる。
 痛みに顔を歪ませて。
 
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