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もうLOVEっ!ハニー!
第17章 深い底まで証を
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何かと思えば、ポケットを探ってくる。
「これだけは……やっとかないと」
ライターしか出てこず、舌打ちをして、這いずって近づいてくる。
清龍の太ももを掴んで進んでくるので、全身が揺らされて半端ない痛みに声が漏れる。
「っなんだよ」
反対のポケットに伸ばされた手が、割れたであろう携帯を探り当てた。
満身創痍に呼吸を繰り返しながら、つばるが画面のスイッチを入れる。
「……点けよ。点け、早く」
蝉の声を浴びながら。
大怪我をした男が二人。
間抜けな絵面だ。
寮の換気口からかカレーの香りが漂ってくる。
司、驚くだろうな。
「ついた!」
つばるが小さく叫び、ロックを解除する。
細かなヒビが無数に入った画面は指を感知しづらいが、迷わず画像フォルダを開く。
「お前、なんで知ってんの」
「……クズ同士思考が似てんだよ」
激しく咳き込みながらも、手を止めない。
「全部消すから」
「好きにしろよ」
もはやこんな状況で遮る気も起きない。
「それより、救急車呼んでくれ。なる先生も留守なんだよ今日」
「救急車呼んだよ」
頭上から声がしたと思えば、司が立っていた。
影になってよく顔が見えないが、声でわかる。
怒っている。
「なにやってんだよ、清」
後半に入り、点数の取り合いがスピードを増す。
向こうチームも負けの臭いに焦り始めたのか、パス回しよりもランニングシュートで確実に点を取りに来ている。
こばるは目に入りそうな汗を拭いながら、残り時間を何度も確認した。
ここまで来ただけでもすげえことじゃん。
去年の県一位校と拮抗してる。
負け上等の一回戦。
「いけ、行けー! そこマーク空いてんぞ」
「こっちだよ、パス!」
数秒で戦況が変わる。
背が高くシュート率の高い岳斗へのガードはどんどん固くなり、迂闊に頼れない。
敵のドリブルがこちらに向かってくる。
奪わないと、死ぬと思え。
手から離れた瞬間を狙って、素早く踏み出す。
床にバウンドしたボールは相手の手の中には戻らず、こばるが駆け出した。
「ないっす!」
すぐにゴール下に走る岳斗が叫ぶ。
攻めんの好きすぎだろ、あの人。
同期にパスを回すが、すぐに戻ってくる。
三点ライン。
パスか、シュートか。
「やったれ、こばる!」
そうだ、得点王は継ぐんだから。
歓声が遅れて降ってきた。
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