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もうLOVEっ!ハニー!
第17章 深い底まで証を

 目の前にしゃがんだ司が、肩をそっと撫でる。
「あのね、今君ら二人とも動かない方がいい。変な方に曲がってる」
「冷静に言うじゃないか、司」
 画像データをゴミ箱に入れ、さらにゴミ箱内のデータを削除し、それだけでは飽き足らずに携帯を初期化してからつばるが顔を上げた。
「宇宿先輩、迷惑かけます」
「かけてから言うもんじゃないよ……あれの修理もやばいって。隆にいも苦労するよ後始末」
 あまりに冷静な司に、清龍が不審を覚える。
 同期と後輩が屋上から落ちたんだぞ。
 意識があるとは言えど入院確実。
 なんで、普通に話せるんだ。
 司を見上げると、苦笑される。
「隠しごとはするもんじゃないよ、清」
「じゃあ聞くけど……お前もなんかしたか?」
 屋上に上る前から、体調がおかしかった。
 寝不足のせいだけじゃない。
 睡眠薬でも飲まされたように、体の自由が効かなかったのを思い出す。
「シャーベット……不味かったよね」
「お前……」
 司は泣きそうな顔でブンブンと両手を振る。
「だって、本音でなんか話してくれないだろ。具合悪くなれば、看病しながら聞き出せるかもって……ごめん。浸出液は猛毒だから、少量にはしたんだけど」
「待て待て、おい。司」
「ごめん。タバコくらいしか思いつかなくて」
 ニコチンかよ。
 それであの不調。
 都合のいい薬なんてそりゃ手に入んないけど。
「俺のタバコいつ盗ったんだよ」
「清はシャワー室にも持ってくから」
「えっぐ……宇宿先輩、顔に似合わずえぐいっすね」
 寝転んだまま、つばるが吐き捨てる。
 清龍は呆れて腕で顔を覆った。
 馬鹿三人目。
 料理大好きのくせに、タバコを浸した液なんか混入させるの辛かっただろ。
 くくくっと笑いが痛みを助長する。
「あ、サイレン」
 救急車の近づいてくる音がする。
 司が立ち上がり、誘導のために門の方に向かう。
「あ。清ー! ガクには何も言わないから安心して」
 手を挙げるのも大声で返事するのも、出来ないとわかってるくせに。
 残されたつばると目を合わせる。
「三年男子、まともなのガク先輩だけじゃん」
「だからあいつが選ばれたんだろ……」
「それで嫉妬はキツすぎ。頼むから半年は入院しててくれよ……」
「こんな幼稚な手段しか思いつかなかったのか」
 つばるから返事がない。
 限界を保っていたのか、意識を失っていた。
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