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もうLOVEっ!ハニー!
第18章 砂の城を守って

「これ毎週食べたあい!」
 亜季の無邪気な叫びに汐里が微笑む。
「特別メニューだからなあ、月イチならいいぞ」
 まんざらでもない。
「ルカはご飯なくて美味しいのそれ」
「慣れた光景でしょう」
 覗き込んできた賢にピシャリと。
 何杯でも食べられるな、これ。
 すぐに空になった容器を見つめてから、汐里に声をかけようとすると、かんなが手を差し出した。
「私、もらってきましょうか」
 よお見とるな。
 嬉しくなって皿を差し出す。
「ありがと。大盛りって伝えて」
「聞こえてるぞー」
 かんなが立ち上がり、汐里に皿を渡す。
 ガヤガヤと周りから会話が聞こえる。
 ベストフォー入りした学校名がちらほら聞こえる。
「ガク先輩、次やるとこ去年負けたとこっすよね」
「ああ、第三校? あそこ強いな」
「リベンジ戦じゃないすか」
 かんなが戻ってきて、礼を言いながら器を受け取る。
 賢もすぐに立ち上がって汐里の元に向かった。
 何杯食べるかな、マリケン。
「スリーポイントラインでのボール奪取率が高いんよなあ……無理せずパスするわ」
「勝ったら決勝ですね」
「そうだよ、かんなちゃん。青春だろー?」
 こばるの明るい茶化しに場が和む。
 この光景もこれで最後か。
 ここで飯を食うのなんてもう無いやろね。
 一つ一つの行事、その瞬間が全部最後になっていく一年になる。
 味噌汁を飲みながら、ぼんやりとその景色を記憶に焼きつけるように眺める。
 他の三年も、似たようなこと考えとるかな。
 蘭は特に、あんな好き勝手できる部室もなくなって、バイオリニストの道に進んでいくやろか。
 司は調理専門に進む。
 茜は就職かもな。
 美弥は、まだわからん。
 卒業したら、当たり前に全員を見かけることも無くなるだろう。
「優勝したいっすね」
「頑張ろな」
 こばるの頭をワシワシと撫でる。
「ちょ、髪崩れる! 」
「十分崩れとるから、後で直したる」
 かんなに会うことも、極端に減るやろな。
 目線が合うとニコリと。
 さっきの失言のせいか、少しだけ元気ないけど。
「あ、そうでした……さっきこれ渡そうと思ってたんですけど」
 かんながポケットから紐のようなものを取り出す。
「あの、お決まりですが、ミサンガです」
「ええっ! かんなちゃん手作り!?」
 お前が先に反応すんなや。
 オレンジと黄色の二色。
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