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もうLOVEっ!ハニー!
第18章 砂の城を守って

 こばるの声のせいで注目が集まる。
「もし、大会規則に反しなければ……つけてもらえたら嬉しいです」
 いやもう既に反則。
 抱きしめたい気持ちを堪えて、ミサンガを手に取る。
「いやー……嬉し。作ってくれたん?」
「初めてなんで、出来はあんまり見ないでください」
 こんな可愛いことしてくれる彼女に、俺は何を言ってしまったんだ。
 穴があったら入りたい、てこういうことやんな。
「青春だなあ、青春」
 隆人が感慨深く笑う。
「じゃあ、キツめに足首に巻いとくわ」
「切れる時に願いが叶うって言うから、優勝したら切れてなくなるんじゃないすか」
「こばる、お前」
「冗談! 冗談ですって!」

 昼食が終わり、皿を片付けてシートも撤収してから、窓際のベンチでミサンガを巻く。
「短ぁ……」
 ギリギリで固結びにして、外れないか確認する。
 じーっと手首と見比べて、なるほど確かに足首の方が太いからか。
 不安なので靴下で覆った。
 昔喧嘩した先輩が付けとったな。
 あん時はダサイって思ったんに。
 実際貰うと嬉しいもんやな。
「先輩、そろそろ行きましょー」
 応援席に向かう一行を見送ってから控え室に戻る。
「見えないようにしたんすか」
「無くさんように」
 負ける訳にはいかんなあ。

 夕方、こばるは誰より早く病院に向かった。
 準優勝の報告を抱いて。
 汐里の運転でロータリーに着き、飛び降りるようにして面会カードを受け取りに行く。
「早乙女様ですね。このあと主治医からご説明がありますので、個室でお待ちください」
「……了解です」
 病院の静けさとアルコールのような香りに包まれて、さっきまでの熱い空間が嘘のよう。
 決勝は惜しかった。
 まさか最後二十秒で逆転されるなんて。
 つばるのベッドの脇に座り、少し痩せた腕をさするように撫でる。
 なんでだろう、と何度も考える。
 なんで、屋上に行ったんだろう。
 なんで、清龍先輩と落ちたんだろう。
 なんで、フェンスに細工がしてあったんだろう。
 なんで、清龍先輩は目覚めて、つばるだけが眠っているんだろう。
 ノックがして、白衣姿の男性が現れる。
「早乙女こばるくんですね」
「はい」
「以前お伝えした通り、明日までに意識が戻らなければ、治療方針を変更する都合上、保護者の同意が必要になります。ご事情は聞いてますが、ご連絡は取れそうですか」
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