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もうLOVEっ!ハニー!
第18章 砂の城を守って

 こばるは唾を飲み込んで、決意をして答えた。
「責任もってオレが親を呼びます」
 医師は重々しく頷いた。
「あの、治療費についてなんですけど」
「現在は学園側が代理精算をされています。保護者の方に引き継がれる際には改めて手続きします」
「わかりました」
 医師たちがいなくなってから、機械音だけと他の病人の寝返りの音だけが響く。
 学園側からの説明だと、分割で卒業後に精算が可能だと聞いている。
 つばるだけでなく自分も一緒に支払えば、それほど長くはかからないはず。
 そんな費用で親に借りも作りたくない。
 でもまずは……
「起きろよ、つばる」
 固く手を握る。
 確かに脈拍はあるのに。
 司先輩の話だと救急車に乗る前までは、意識があったと聞いている。
 だったらまた戻ってこれるはず。
「準優勝したぞ。お前が退院したらバスケ部入ってもらうからな。兄弟で今度は優勝するぞ」
 喉がキリキリと痛む。
 十分苦しんだじゃないか。
 一学期最後の事件で。
 部屋を移動し、寮内でも浮いて、さらに人付き合いを少なくして。
 お前が中学でやってきたことをオレは知らない。
 非人道的なことも経験したのかもしれない。
 でもこの学園を選んだからには、生まれ変わりたい決意があったはず。
 まだあと二年半あるんだ。
 早く一緒に過ごそう。
 それで隠してたことを少しづつ話してくれ。
 頼むから。
 手に力が篭もる。
 ぐっと握り返されたような感触がした。
 ヒュッと息を吸い、つばるの顔を見る。
 瞼が何度かぎゅっと痙攣してから、目が開いた。
 思わずナースコールに手を伸ばす。
 ボタンを押すと同時に、つばるが口を開いた。
「峰先輩、生きてる?」
 なんだよ。
 なんだよ、それ。
 こばるが覆い被さるように抱きつく。
「生きてる……生きてるよ! お前も生きててよかった。遅いんだよ、一週間も寝やがって」
 つばるが手だけをそっと添える。
「一週間……そんなに。まじか」
 顔を見ると、くしゃりと笑う。
「兄貴、ひでえ顔」
「お前のせいだろ」
 看護師がノックして現れる。
「意識戻りました!」
「おめでとうございます。すぐに先生呼んできますね。どこか痛いところはありますか、会話は出来ますか?」
「問題ないです」
 踵を返した看護師が足を止めた。
「あら、面会の方?」
 かんなが顔を出した。
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