この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
もうLOVEっ!ハニー!
第19章 友情の殻を破らせて

 食べ終えた寮生が続々始業式に向けて移動を始める中で、私とガク先輩は西廊下にいました。
 私は壁に背中をついて。
 ガク先輩は私を見下ろすように壁に肘をついて。
「独断ですみません……」
「あんな行動力あるとは、思わんかった」
「私もびっくりです」
 自分でも、馬鹿だなと思う。
 人の人生に口を出すなんて。
 頬に手が添えられる。
「そんなに心配かけてんの、俺」
「いえ、違くて……勉強熱心なのも知ってますけど、卒業したらだって、こんな機会なかなかないですし。たまたまルカさんが隣に座ったから、つい」
 言葉を続けるために、ぎゅっとガク先輩のシャツの裾を握りしめる。
「あんなに話が進むとは思いませんでした。でも本当にワクワクしてて……」
 その手を大きな手が包み込む。
 見上げると、呆れたような笑顔。
「俺が、色んな服きて、カメラに笑って……そういうん向いとる思ったん?」
 だって今ですら凄い魅力的な表情。
「思いました」
 手を引かれて、気づいたら胸の中でした。
 ぎゅうっと力強く抱きしめられる。
「ありがとう。考えてくれて」
 心臓の音が聞こえる。
 胸板に顔を埋めて。
「この夏休みいっぱい情けないとこ見せてごめん。かんながくれたチャンス、精一杯挑戦してみるわ」
「何言ってるんですか。あんなにバスケで格好いいとこ見せてくれたじゃないですか。ガク先輩が夏休み初日に声をかけてくれなかったら、私この一ヶ月きっと、引きこもってました。最高の夏休みでした。だから、感謝しかなくて」
 言い終える前に唇が重なった。
 部屋の中じゃなくて、廊下だから、いつもよりもドキドキしてしまう。
 舌は触れ合わず、唇だけが、互いのやわらかさに身を委ねるように押し付け合う。
「ほんまに可愛いな」
 幸せを感じる器官があるとしたら、唇の中にあるのかもと思うほど、ふわふわと温かい時間。
 予鈴がなって、パッと離れる。
「やば。走ろか」
「はい!」
 悪戯に笑いあって、玄関に急ぐ。
 転ばぬように歩幅を合わせてくれるのがわかった。
 校舎に向かって、雨上がりのぬかるんだ道をパチャパチャと。
 靴下も靴も泥だらけになりながら。
 玄関で上履きに履き替えて、体育館に向かって廊下を走る。
 既にほとんどの生徒が中に揃い、注目を集めぬように寮生の列に向かった。
 息切れしながら、楽しくて仕方なかった。
/421ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ