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もうLOVEっ!ハニー!
第19章 友情の殻を破らせて
「それで、どこまで本気の話ですか」
板挟みにされて、軽々しく話題を投げた自分を恨む。
「俺? ルカが命懸けのもんに半端な気持ちで首突っ込んだりせえへんよ。かんなの思いつきやから」
「ごめんなさい」
「いえいえ、私は乗り気ですよ。最近十代の男性モデルにあなたのような一重で、華があって体が出来上がっている人が少ないんですよ。お世話になってる雑誌の方が近々オーディションを開催すると聞いてますし。チャンスな時期ではありますよ」
「ちょお待って。現実味帯びすぎ」
「以前から思っていましたが、ガク先輩の容姿は活用するべきだと思います」
その道にいる者に声をかけられて、胸が高鳴らない人なんていない。
岳斗も少し考え込んだ。
「ちなみに、ルカの次の現場はいつなん」
「今週末ですよ。スタジオなので、先に事情話して許可証もらわないと入れませんが……始業式の後にでも写真を撮らせてくれますか?」
ものすごいスピードで進む話に、食堂中が耳を立てている。
トントンとカウンターを指で叩き、岳斗が口を開いた。
「箸にも棒にもかからんかったとして、ルカに迷惑かからん?」
まさか、と首を振る。
汐里がそーっと岳斗の前にカレーセットを置いた。
スプーンに指をかけつつ、低く唸る。
進路の悩みは何度も聞いていた。
服飾に興味があるのならば、見学だけでも価値があるはず。
ルカは今すぐにでも連絡を取らんばかりに携帯を取り出す。
「アンナもいますけど」
「それはかまへんけど」
美弥だけはうげっと顔をしかめた。
アリスの言葉は本当だったのでしょうか。
夏休み中に接点があったのか、聞きたいけれどタイミングがない。
ピアスを指でいじりながら、大きく息を吐いてから岳斗が答えた。
「始業式の後どこ行ったらええの」
何か奇跡が始まりそうな予感に顔が緩んでしまう。
ルカはサラダをフォークで突き刺しながら、そうですね、と続けた。
「自然光の中の方が、いい写真が撮れそうなので、南門近くの池のあたりにしますか」
約束を取り付けたことで、ことが動き出すのを肌で感じる。
「わかった。手間かけてごめんな。お願いするわ」
「良かったですね、松ちゃん」
「はい!」
今気づきました。
なんて美しい二人に挟まれているんでしょうか。
蘭がおもちゃを手に入れたように目を輝かせて、美弥と笑った。