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もうLOVEっ!ハニー!
第3章 追いかけてきた過去
力なく着替え、力なく身だしなみを整え、力なく廊下に出た私を元気いっぱいに迎えてくれた美弥に力なく応えて食堂に向かう。
事情の知らない美弥はいつもどおりの活発さでポンポン話題を提供してくれる。
その面白い話にも一切笑えない私を心配そうに見つめる。
「かんな? まさか他の連中と街巡りで酷いことされたのかにゃっ!?」
「んなことあるわけねーだろ」
ちょうど階段で合流した陸が突っ込む。
そのそばにこばるがいた。
表情が曇っている。
「わからないじゃんっ。特にくーちゃんなんて二人きりにさせたらどこ行くかわかったもんじゃない」
「尚哉は真面目だって言ってただろ」
「真面目と不純が必ずしも結びつかないわけじゃない」
そんな話をしているうちに汐里の待つ食堂に着いた。
美味しそうな香りが鼻をくすぐるが、全く食欲がわかない。
色とりどりの料理が並んだプレートを受け取っても、それは変わらなかった。
結局二割も手をつけずに賢に食べてもらい、朝食を終えた。
部屋に戻り、早乙女つばるのことばかりが頭を占める。
壱〇弐号室。
この部屋の向かい。
そして壱〇四号室。
この斜め向かい。
そこに二人が入る。
壱〇参号室である隣人が美弥で本当に良かったと思う。
鬱々とした午前中が矢のように過ぎ去り、昼食に向かう。
案の定全く手をつけられない。
心配した汐里が野菜ジュースを作ってくれた。
七種類の野菜がたっぷり入ったジュースは本当に美味しかった。
「無理して食べることはないからね、かんなお嬢さん。いつでもジュースを作ってあげるよ」
「じゃあ、ボクにも美容ジュースちょうだい」
「それはだめ」
「えー」
ふっと。
やっと笑えた。
廊下に出たところでこばるが小声で話しかけてきた。
「今夜の歓迎会、無理して出る必要ないからな」
「はい……」
でも、それがなんだろう。
三年間も目の前の部屋に暮らすのだ。
この華海都寮のメンバーは大抵クラスも同じになる。
文系理系に分かれてからは変わるかもしれないが、どのみち顔を合わせて暮らすのだ。
今日避けたところで、どこかでぶつからなければならない。
無表情で立ち止まる私を美弥が抱きしめる。
「こばりんに何言われたか知らないけどね」
声色が変わる。
「かんなはボクが守るから」
その言葉が、とても心強く響いた。
事情の知らない美弥はいつもどおりの活発さでポンポン話題を提供してくれる。
その面白い話にも一切笑えない私を心配そうに見つめる。
「かんな? まさか他の連中と街巡りで酷いことされたのかにゃっ!?」
「んなことあるわけねーだろ」
ちょうど階段で合流した陸が突っ込む。
そのそばにこばるがいた。
表情が曇っている。
「わからないじゃんっ。特にくーちゃんなんて二人きりにさせたらどこ行くかわかったもんじゃない」
「尚哉は真面目だって言ってただろ」
「真面目と不純が必ずしも結びつかないわけじゃない」
そんな話をしているうちに汐里の待つ食堂に着いた。
美味しそうな香りが鼻をくすぐるが、全く食欲がわかない。
色とりどりの料理が並んだプレートを受け取っても、それは変わらなかった。
結局二割も手をつけずに賢に食べてもらい、朝食を終えた。
部屋に戻り、早乙女つばるのことばかりが頭を占める。
壱〇弐号室。
この部屋の向かい。
そして壱〇四号室。
この斜め向かい。
そこに二人が入る。
壱〇参号室である隣人が美弥で本当に良かったと思う。
鬱々とした午前中が矢のように過ぎ去り、昼食に向かう。
案の定全く手をつけられない。
心配した汐里が野菜ジュースを作ってくれた。
七種類の野菜がたっぷり入ったジュースは本当に美味しかった。
「無理して食べることはないからね、かんなお嬢さん。いつでもジュースを作ってあげるよ」
「じゃあ、ボクにも美容ジュースちょうだい」
「それはだめ」
「えー」
ふっと。
やっと笑えた。
廊下に出たところでこばるが小声で話しかけてきた。
「今夜の歓迎会、無理して出る必要ないからな」
「はい……」
でも、それがなんだろう。
三年間も目の前の部屋に暮らすのだ。
この華海都寮のメンバーは大抵クラスも同じになる。
文系理系に分かれてからは変わるかもしれないが、どのみち顔を合わせて暮らすのだ。
今日避けたところで、どこかでぶつからなければならない。
無表情で立ち止まる私を美弥が抱きしめる。
「こばりんに何言われたか知らないけどね」
声色が変わる。
「かんなはボクが守るから」
その言葉が、とても心強く響いた。