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もうLOVEっ!ハニー!
第20章 秘密のシャーベット
気だるい眠気に身を委ねようとした時、スライドドアが開く音がして、カーテンが開いた。
つばるは頭だけ来客に向ける。
手を挙げると、向こうも手を挙げた。
「やっと来ましたか、ガク先輩」
「一ヶ月ぶりか、つばる」
秋に入り、夕方になると外は肌寒いのかカーディガンとジーンズ姿。
ヒラヒラした素材以外も着るんだな、と思いつつ、丸椅子に座る先輩を眺める。
「リハビリどうなん」
「まあ、しんどいっすね。頭と腰やっちゃってるんで安静期間長いし、足の骨は回復してるんですけど身を起こすだけで辛い感じ」
「大変やね」
ベッドに頬杖をついて、他の患者に聞こえぬように小声で。
「やっと、てなんやねん」
「いやだってほら、相手が相手でしょ。一番の親友のあんたが理由聞きに来ないわけがないし」
「あー……せやね。情けないけど、一ヶ月経ってやっと覚悟ができたっつうか、お前は話せるん?」
「聞きたければですけど」
「んー。清には聞かんて伝えたんよ」
「じゃあ、俺からもやめときますか」
思案する間が流れる。
内心つばるは拍子抜けしていた。
あの日の短絡的な計画と結果に、もっと問い詰められるものかと思っていたから。
学園側に伝えた内容も、多々疑問を残しつつも管理人が調整してくれた。
公にする訳には行かない事情しかないのだから。
「じゃあ、二個質問してもええかな」
「いいですよ」
小鼻を掻いてから、ふーっと息を吐いて。
余程言いづらいように。
「清と一緒に寮の三階にまた戻れそうか?」
「え、そっち?」
「そっち?」
「あ、いや。俺の心配ですか」
「まずはな」
予想外の質問に虚をつかれた。
だが、心の隅で悩んでいた問題でもある。
あれだけのことをして、また共同生活というのは正直望むところではない。
一学期最後の事件から連続しての問題。
「一応隆人さんには復帰前面談で相談しようと思ってましたけど、兄貴と同室にしてもらおうかなと」
「ああ! それええな。広いしな」
「まあイベント貸出の件は聞きましたけど、先に兄貴には許可も貰ってますし」
最善は卒業後退院だが。
向こうが先に退院して、寮に戻って、自分の目がないところで何かが起きるのも避けたい。
「清のことやけど、ほんまに今までは何の問題もなかったんよ。喫煙以外、やけど。いや、余計なこと言ったわ」
自虐的に首を振る。