この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
もうLOVEっ!ハニー!
第20章 秘密のシャーベット

「二つ目はなんですか」
 急かすのも良くないが、沈黙も面倒で。
 病室というのは嫌に静かだから。
 時折ガラガラと廊下から何かを運ぶ音がする以外は、ほとんど静寂。
 同室の患者もテレビはイヤホン派のようだし。
「あの日、司はカレーを作っとったらしいけど。何か変なことでもあったんかなって」
「ええ……マジでその質問でいいんすか」
 そこで岳斗が眉を上げた。
「ああ。あ、そういうことやね。いや、かんなのことは聞かんよ。別に何も無かったとも思っとらんよ。けど、本人も言う気なさそうやし、つばるとの過去もお前の口からしか聞いてへんしな」
 はは、と笑いが洩れる。
「なんだよ、そうすか。身構えてた俺がバカみたいじゃねえですか……あー、でもそうか。宇宿先輩あれから元気なわけないっすよね」
「せやねん。第一発見者やろ。あの後から料理作れんくなって、こもり気味になってー……本人と話せば済むんやけど、知っとることあったら聞いとこ思て」
「シャーベットですよ」
「シャーベット?」
 鮮明に思い出す。
 あの日の食堂での時間を。
 つばるにはスイカ、清にはレモン、と差し出した時の表情。
 落ちた後に駆けつけた後の告白。
「俺にはスイカジェラート、峰先輩には新作のシャーベットを振る舞ったんですよ。それが大失敗の味だったらしくて」
「珍し。司が失敗したん?」
「タバコ味だったそうですよ」
「タバスコじゃなくて?」
「ガク先輩は身近で手に入る毒ってなんだと思います」
「急やな。えー……消毒液とか?」
「アルコールかニコチン、ですよね」
「ニコチン……タバコ? マジか。いや、非現実的すぎるな」
「非現実的ですよ。屈強でもない俺が峰先輩巻き添えにできたのは、あの日先輩が具合が悪かったからです。でもこれ、オフレコにしてくださいね」
 それ以上は、言わなくてもいいだろう。
 岳斗は何かを組み立てるようにシーツのシワを見つめて、考えている。
 仮に結論に辿り着いたとして、何故そこまでのことに至ったのか謎が残る。
 友人に毒を盛るまでの感情。
 そこから先は本人に聞かないと。
「そうか。教えてくれてありがとな」
「あ、先輩、俺からもいいですか」
「なに?」
「ちゃんと避妊してますよね」
 二秒ほどしてコン、と肩を小突かれる。
「当たり前やろ」
「当たり前、なんだよなあ」
 画像を思い出し、呟いた。
/421ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ