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もうLOVEっ!ハニー!
第3章 追いかけてきた過去

 促されて部屋の中央に向かう。
 そこに同い年の二人が待っていた。
 傍らにこばるさんを見つけた。
 なんともいえない顔をしていた。
 もう、話したんでしょうか。
 わかりません。
「挨拶の前に、言っておくことがある」
 隆人の言葉に、つばるは開きかけた口を閉じた。
 何を言おうとしたんですか。
 私を見つめて。
「この寮に入ったからには、ここのルールに従ってもらうよ。ここでは誰もが過去から卒業してやってきている。だから、お互いの過去は詮索しないし、構わない。作っていくのはこれからの関係だ。いいね」
 隆人さん。
 それは、きっと私に向けてですね。
 こばるさんも力強く頷いた。
 つばるがそれを一瞥して目を逸らす。
「じゃあ、まずは……薫ちゃんから頼もうかな」
 びくんと飛び上がった少女がそろそろと歩み出る。
 背中までのシャギーがかったブラウンの髪。
 潤んだ大きな瞳。
 仕草の一つ一つからにじみ出る大人しさ。
 彼女は、蚊の鳴くような声で自己紹介をした。
「あ……えと、村山薫と申します……え、えと。その、あたしは人と喋るのが苦手で……だから迷惑かけるかもしれませんが、その、よろしくお願いします」
 消え入るように言い切ると、顔を伏せて下がった。
 汐里がうんうんと頷く。
 隆人は拍手をして、次を促した。
「よくできました。じゃあ、次はかんなちゃん」
 私ですか。
「はい。一週間前から入寮し、皆さんにお世話になっています。松園かんなと申します。よろしくお願いします」
 陸やこばる、美弥の視線に救われる。
 本当だ。
 ここには沢山味方がいる。
 奈巳さんの言うとおりだ。
「じゃあ、最後は……つばる」
 その声に一斉に視線が動いた。
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