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もうLOVEっ!ハニー!
第21章 眩さから逃げ出して

 月曜日の朝、隣に眠るかんなを起こさぬようにウォーキングのために着替える。
 二ヶ月ぶりの欲求をぶつけるように、四時間も体を重ねていた。
 夕食を食べる気も起きずに、シャワーだけ浴びに交互に出てから、泥のように眠ったのを思い出す。
「不健全すぎるわ……」
 涼しい空気の中を歩きながら、自省する。
 部屋には空のペットボトルが四本転がっていた。
 朝日の中で、首から胸までにつけた痕を見て、後悔してしまったのも情けない。
 秋口とはいえ、タートルネックの下着を付けさせるのは気が引ける。
 しかし衝動が止められなかった。
 ついぞ理由を聞けなかった痕を思い出して。
 ゴムのストックが尽きなければ、朝まで続けていたんじゃないか。
 ため息を吐きながら部室棟の方を歩く。
 今日の放課後は司とここで話そか。
 ビリッとうなじが痛み、手を当てると、引っ掻いたような腫れた跡。
 ああ、俺も付けられてたんか。
 すがるように抱きついてきたかんなを思い出す。
 撮影の熱が抜けてないのもあったからか。
 非日常すぎる一日だった。
「いや、猿やわ。アホちゃう」
 つい言葉に出てしまい、尚更笑えてくる。
 そこで始まったきっかけのアリスのことを考える。
 かんなは磁石かなんかなのか。
 一体何人を引き寄せるのか。
 美弥を罠にかけた話からして、あっさり引き下がるような相手じゃないだろう。
 そもそも彼氏持ちと知っていて、スキンシップを仕掛けてくるのだから。
 悩みが尽きないにも程がある。
 両手をぐっと合わせる。
 もうしないって決めてたのに。
 かんなの首の感触が蘇る。
 性癖だなんて言うなよ、自分。

 部室棟を回って、林を抜けて、寮の前に戻ってくると、隆人が玄関を掃除していた。
「あ。おはよう。ガク」
「早起きやね」
「そっちこそ。最近寝れなくてね」
 二学期になって隈が取れた日がない顔で。
「隆にい、休みないんか」
「え? 一応カレンダー通りだよ」
「土日も病院やろ」
「そりゃあね。来月にはリハビリ始まるけど、大事な生徒たちだから心配で」
 靴を脱いでいると、隆人も区切りが着いたのか道具を片付けた。
「つばるはこばるの部屋に移るんか」
「そうだね……こんな部屋移動があった年はないよ」
「俺がかんなと同室になりたいって言ったら?」
「はははっ、寒い冗談だねって」
 やっとわろた。
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