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もうLOVEっ!ハニー!
第21章 眩さから逃げ出して

 隆人はスリッパを滑らせるように履きながら歩きだし、数秒ほど唸った。
「あー……ガク。かんなとは上手くいってる?」
 意外な質問に足を止める。
「急に? 悩み多いけど、話すほどでもないで」
「そうか。うん、ならいい。旅行申請はいつでも歓迎だからね」
 含みある言い方が引っかかる。
 隆人はじゃあね、と管理人室に向かった。
 残された岳斗は一人玄関で呟く。
「あんたまで関わってたとか言い出すなよ……」
 その声は早朝の空に溶けていく。

 ああ、どうしましょう。
 起きたら先輩の部屋に一人なのですが、起き上がる気力がありません。
 窓の光からしてまだ七時前。
 鳥も遠くで囀る程度。
 ぐぐ、と寝返りをして上を向く。
 御手洗に立ちたいけれど、腰も背中も役目を放棄してしまっている。
 痛みの理由とともに昨晩が蘇る。
 無意識に右手で首から鎖骨を確認する。
 触っても分からないけれど、きっと鏡で見れば夢じゃないことが明かされるはず。
 そのまま腕で目を覆う。
 夏休みならストールでどうにかなったけど、授業はどうしましょうか。
 タートルネックなんて季節でもないし。
 髪を下ろしてカールして、サイドは隠せたとしても正面が解決しない。
 ファンデ……
 そこでルカに貰ったコンシーラーを思い出す。
 どうにか消せるかな。
 でもいっそ休んでしまいたい。
 だってこんなにも気だるい朝なのだから。
 ガチャリと鍵が開く音がする。
「あ、起きてたん? おはよ」
「おはようございます。すみません、ちょっと起き上がれなくてベッドからで」
 なぜ当の本人は早朝ウォーキングできるほどにピンピンなのでしょうか。
 体力の差が嫌になる。
 鍵をテレビ台に置いてからベッドに座る。
 寝転んだままの私のお腹をシーツ越しにぽんぽんと撫でる。
「まだ七時前やから、二度寝してええよ。半になったら起こすわ。休むんやったらここで寝とって」
「正直休みたい……」
 そこで申し訳なさそうに眉を歪める。
「ごめん……無理させて」
「いえ、その、はい……私体力なさすぎですね」
「いや、まっじで俺が悪い。あ、水いる?」
「お願いしていいですか」
 すぐにキッチンからボトルを持ってきてくれる。
 数口飲んでからふーっと息を吐く。
 急に二人きりが気まずく感じてしまう。
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