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もうLOVEっ!ハニー!
第22章 三角の終焉

壁際に縮こまるように布団にくるまって寝たはずなのに、朝になると無防備に大の字になって緩んだ顔を晒している同居人に、朝日の降り注ぐ部屋の中で幸せに胸が満たされる。
起こしてしまおうか悩みながら、ベッドに腰掛けて組んだ足の膝頭に肘を乗せて頬杖をつく。
「朝ですよ、亜季」
あのシャワー室の一件から、寝る時には妙に警戒をしながら布団に入る姿に、手を出そうと思えばこの一年半いくらでも機会があったことをいつ察してくれるのかと頭を悩ませる毎晩。
今更無理やり抱いたところで、この気持ちが収まる訳も無い。
「んん……」
時間差で声が届いたように、身じろぎしながら、気怠そうに寝返りを打つ。
陽の光に瞼が刺激されて、やっと目を開いた。
「あ、今何時」
「七時半」
「朝食……着替えないと」
いつものように起き上がり、跳ね返った後ろ髪をクシャクシャと指でときながら着替えの入ったクローゼットに向かう。
「聞いたよね、明日の話」
背中がピク、と反応して、心底嫌そうに眉を歪めた亜季が振り返る。
「奈己って性格悪かったっけえ?」
「おや、今更?」
「あーもー、朝っぱらからしたくないんだけど。覚えてるよそりゃ、あんなに嬉しそうなルカの……嬉しそうな」
「正直実感湧かないよね。僕は今だにルカがモデルをしているのすら、雑誌を見ても半分信じていないくらいだよ。それが、もう一人増えるなんて」
「決定事項じゃないでしょー。もうやめよ、色気ないってこの話」
不機嫌そうにスポン、とシャツの襟から頭を出して溜息を吐く。
ああ、そうだね。
僕は至極性格が悪い。
嫌そうな顔を見てなおさら、この話題が愛しくなるのだから。
「ルカのためにレンレンは買うけどさあ、正直見たくないよ、先輩のページ」
「そのうちルカとの絡みも出て来るかもしれませんよ」
乱暴にハンガーを戻しながら、亜季がやっとこちらに全身を向けた。
ムウっと力のこもった下唇に、つい視線が向いてしまう。
「ルカは、仕事仲間と恋なんてしないって言ってた」
「すでに恋人がいるもんね。どれだけ盛り上がっているか聞いてみたら不安もなくなるんじゃない?」
「やあだ、そんなセクハラ質問はぜってぇしません」
わざと戯けた口調に、ふふっと笑いが溢れてしまう。
「明日のルカの感想が楽しみだね、亜季」
「ほんっと性格悪い」

