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もうLOVEっ!ハニー!
第3章 追いかけてきた過去
「三年になってからは全然泣かなくなってつまんなかったけど、なんだ。変わんねえな、かんな」
 愉快そうに。
 そうだった。
 この男は、私が泣くといつも笑っていた。
 二年まで。
 三年になってから、ほとんどのいじめに私が無反応になってからそっけなくなったが。
 その理由がこれだったんだ。
 本当に最低。
 嗚咽を堪えて口を覆う。
 だがその手を無理やり剥がされた。
 下唇を噛んで睨みつける。
「へー。そういう顔もできるんだ」
 なにが目的。
 こんなからかい。
「また……いじめるの?」
 涙声。
 弱いな、私。
 それだけはやめてって。
 にじみ出た声。
 だからだろう。
 この男は余計に楽しむんだ。
 唇を持ち上げて。
 歪んだ笑みで。
「なんせ向かいの部屋だもんな。いじめ甲斐がありそうだ」
 顔が固まる。
 表情がつくれない。
 脱力していく。
 私はずるりと腰を落とした。
 つばるの笑い声が聞こえる。
「すっげーイイ反応」
 その目が嫌いです。
 つり上がった細い目。
 人を馬鹿にする目。
 心を透かして覗く目。
 ギッと睨みつけても、涙に濡れてちゃ効果がない。
 つばるがしゃがんで私の頭に手を乗せる。
「今までは他の奴らに任せてたけど、これからは俺が直接手を出せるな」
 淡々と。
 恐ろしいことを言う。
「な……にを」
「お前って鈍感だよ、本当に」
 寝巻きの襟元をグイっと引っ張り上げられ、ベッドに組み敷かれた。
 なにが起きたかわからず、無抵抗に手を頭の上で封じられる。
 その体勢に記憶が蘇った。
 姉の彼氏にされたこと。
 その時の恐怖が色濃く蘇り、私から冷静さを奪い取った。
 脚の間に膝が割入れられ、ゾクリとする。
 
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