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もうLOVEっ!ハニー!
第22章 三角の終焉

さて、どうしましょう。
ベッドに仰向けになり、意味もなく足先を上下に揺らす。
今生の別れかのように出発した岳斗さんがもうすぐ寮に着くそうなのですが、もし今日既に仕事依頼が舞い込んできたのなら、これまで通りの生活は早めに打ち切られるかもしれません。
枯れないようにと造花の百合を飾った花瓶越しに、暗くなった空を見つめる。曇っているようで星はさほど見えない。
冷たい床に足を下ろし、窓辺に近づいてみる。
体温を奪う空気の波が足元を沈めていく。
窓に写った自分に問いかけるように頭に声が響く。
本当にここを出ていく気ですか。
何度も自問してきたけれど、未だに答えは出ない。
こんなとき、誰かに話せたらいいのかもしれないけれど、美弥さんや尚哉さんに話すほど面が厚いわけではないし、こばるさんは直接聞きたいはずですし。
となると、実は一人思い浮かんではいるんですよね。
隆人は久しぶりに対面した彼女の表情の力強さに、朱に交われば赤くなるという言葉がぐるぐると回った。
「そう。実は汐里からちょっと聞いてたんだ」
「あ……もう話してたんですね」
かんなはホッとしたような、ばつが悪そうな笑顔を浮かべた。
組んだ指は落ち着きなく交差を繰り返し、けれど目線だけはしっかりと重なる。
「まあ前例はあるよ。二人同時ってなると目立つから、時期は一か月ずらした方がいいと思うけどね。その辺は準備を始める時に面談という形でしっかり相談に乗ろうかな」
「それは、安心です。ただ、岳斗さんがおっしゃってた三か月の外泊申請というのは現実的に通るものでしょうか」
「通すよ」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔に、笑みがこぼれる。
「そりゃ通すよ。よほどの訳がないとそんな無茶な申請出てこないだろ。ここは訳アリだけが集まる寮だ。管理人が柔軟でないと話にならないでしょ」
「凄い……はは、私一人で考えるよりずっと、実現できることなんですね」
嬉しそうに赤く染まる耳、口元に当てた細い指の列に、庇護欲がくすぐられるのを拳を握って抑える。
まったく、入学当初からそこだけは変わらない。
関わりたくて仕方なくなる。
同級生や後輩じゃなくて本当に良かった。
邪な想いをコーヒーで流し、マグカップをそっと置く。
「つばる?」
「えっ」
「それとも、清龍の方かな」
みるみる消えていく余裕に、心臓がぴりつく。

