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もうLOVEっ!ハニー!
第4章 暴露ゲーム開始

「歓迎会は楽しかったかしら」
「はい」
「しーちゃんの料理は良いわよねぇ」
 うっとりと頬に手を当てる仕草は、真似しろと言われても出来ない。
「他の先輩方はいつ帰るって?」
「あら。岳斗と清龍は今朝見たわよ。司はまだ旅から帰ってきてないみたいだけど。茜は明日来るみたい」
 知らない名前が次々と。
 蘭は外した手袋を弄りながら私を見つめた。
「なんでしょうか……?」
「貴女可愛い」
 不敵に笑ったその表情に、なんだか全てを脱がされたような奇妙な羞恥心に襲われた。
「美弥に目をつけられてるでしょ」
「聞くまでもないだろ」
「そうね。ボクかんな大好きっみたいに後をつけ回ってそうだわ」
 あまりに似ていたので頬が緩んだ。
 仲は良いんだろうか。
 まだ掴めない性格に肩から完全に力を抜けない自分がいた。
「ところで」
「はい?」
「扉の外にいる女の子はいつ入ってくるの」
 蘭の言葉に陸と一緒に振り向く。
 硝子戸に影が写っている様子はない。
 しかし、後ずさるような足音がした。
「盗み聞きは大嫌いよ。入ってきたら?」
 観念したように扉が開く。
 俯いてか細い声で影が言う。
「いつ入ろうかなって……あ、あたし勇気が出なくて」
 もじもじと手を絡ませる少女。
 私と同じ新入生。
 どうしてここに。
 洗濯室のところでは見かけませんでしたが。
 いつからそこに。
 陸が蘭に耳打ちする。
「村山薫だよ、姫」
「三人目の新入生ね」
 その言い方に少し引っ掛かった。
 三人目。
 なら私は二人目。
 だったら……
 瞬きを忘れる。

 この人は私より先に早乙女つばるに会ってるんだ。

 それがなんだろう。
 どうでもいい。
 そう切り捨てられない自分がいた。
 ガンガンと警報が鳴る。
 ああ。
 なんで。
 今ごろ思い出した。
 さっきの曲は、アヴェマリアです。
 クラシックが好きな母がたまに居間で流していたメロディ。
 親しみと同時に畏敬の念を覚える曲。
 第一印象はそれでした。
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