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もうLOVEっ!ハニー!
第4章 暴露ゲーム開始
「薫って言うの。趣味は盗み聞き?」
蘭は相当気に食わないのかチクチクと刺すように言う。
「す、すみません……そんな気はなくて」
「そ。でも貴女にお茶は淹れないわ」
薫が涙を滲ませて頷く。
「ごめんなさい……」
陸がやりすぎだという目で見たが、蘭は気にしない素振りでカップを片付ける。
三人目。
ひょっとして、つばるともこうしてお茶を飲んだんだろうか。
このカップで。
そう考えるともう口をつけられなくなった。
早く出たい。
けど、せっかく連れてきてくれたのにそれも失礼だ。
奥歯を噛み締めながらなんでもないふりをする。
「あたし……まだ頼る人がいなくて……それでかんなさんに着いていけば安心かなって……だから」
「声をかけなきゃストーカーよ」
「言い過ぎだ。入学間近で彼女も不安なのは姫もわかるだろ」
「ふふ。私素直な子はペットにしたいくらい可愛がるけど、二面性ある子は好きじゃないの」
美弥の言葉に重なる。
腹黒だよ。
村山薫を見つめる。
その目が揺らいでる理由が私には正確に掴みとれなかった。
「そんな……あたし……あ、たし」
薫が我慢できずに走り去る。
陸が舌打ちをして追いかけた。
残された私はぼーっとそれを見ていた。
「陸は優しすぎるのが欠点ね」
私に話しかけてるのか人形に話しかけてるのか。
蘭は静かに溢した。
カチャカチャとポットを流しで洗う。
「ねえ」
その呼び掛けに反応するのに時間がかかった。
頭の中は三人目という言葉で一杯だったから。
蘭は顔を上げずに続けた。
「今度早乙女つばると村山薫も一緒にお茶しましょうか」
「……え」
「まだ三人で話してないでしょう」
「早乙女つばるがそう言いましたか」
音が止まる。
蘭が人形のような眼をこちらに向けた。
「ええ。貴女と仲良くしたいみたいよ、彼。貴女はそうじゃないようだけれど。ふふ。今年の新入生はギスギスしていて元気だわ。これからが楽しみ」
愉快げに。
恐い人です。
私は黙って蘭を見つめ返した。
姫。
確かに相応しい。
他人の上で静かに笑う。
決して誰の味方もしない。
見えない権力を籠に淹れて。
恐い人。
「明日は空いてらっしゃる?」
「……ええ」
「じゃあ昼の二時にここに来て」
「……はい」
蘭は満足そうに眼を細めた。
なぜかその顔にぞくりとした。
蘭は相当気に食わないのかチクチクと刺すように言う。
「す、すみません……そんな気はなくて」
「そ。でも貴女にお茶は淹れないわ」
薫が涙を滲ませて頷く。
「ごめんなさい……」
陸がやりすぎだという目で見たが、蘭は気にしない素振りでカップを片付ける。
三人目。
ひょっとして、つばるともこうしてお茶を飲んだんだろうか。
このカップで。
そう考えるともう口をつけられなくなった。
早く出たい。
けど、せっかく連れてきてくれたのにそれも失礼だ。
奥歯を噛み締めながらなんでもないふりをする。
「あたし……まだ頼る人がいなくて……それでかんなさんに着いていけば安心かなって……だから」
「声をかけなきゃストーカーよ」
「言い過ぎだ。入学間近で彼女も不安なのは姫もわかるだろ」
「ふふ。私素直な子はペットにしたいくらい可愛がるけど、二面性ある子は好きじゃないの」
美弥の言葉に重なる。
腹黒だよ。
村山薫を見つめる。
その目が揺らいでる理由が私には正確に掴みとれなかった。
「そんな……あたし……あ、たし」
薫が我慢できずに走り去る。
陸が舌打ちをして追いかけた。
残された私はぼーっとそれを見ていた。
「陸は優しすぎるのが欠点ね」
私に話しかけてるのか人形に話しかけてるのか。
蘭は静かに溢した。
カチャカチャとポットを流しで洗う。
「ねえ」
その呼び掛けに反応するのに時間がかかった。
頭の中は三人目という言葉で一杯だったから。
蘭は顔を上げずに続けた。
「今度早乙女つばると村山薫も一緒にお茶しましょうか」
「……え」
「まだ三人で話してないでしょう」
「早乙女つばるがそう言いましたか」
音が止まる。
蘭が人形のような眼をこちらに向けた。
「ええ。貴女と仲良くしたいみたいよ、彼。貴女はそうじゃないようだけれど。ふふ。今年の新入生はギスギスしていて元気だわ。これからが楽しみ」
愉快げに。
恐い人です。
私は黙って蘭を見つめ返した。
姫。
確かに相応しい。
他人の上で静かに笑う。
決して誰の味方もしない。
見えない権力を籠に淹れて。
恐い人。
「明日は空いてらっしゃる?」
「……ええ」
「じゃあ昼の二時にここに来て」
「……はい」
蘭は満足そうに眼を細めた。
なぜかその顔にぞくりとした。