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もうLOVEっ!ハニー!
第5章 悪戯ごっこ
ジャリ。
校門のコンクリートをブラウンの革靴が踏みしめる。
青年は欠伸をしながら校舎を見上げた。
「久しぶりやんなあ?」
後ろの男が黒いハットを少しずらして相づちを打つ。
「今年の新入生は三人らしいぞ、ガク」
「へえ……はよ顔見たいわ」
ガクと呼ばれたのは三年の錦岳斗。
額が見えるくらいの短髪に狐目。
身長は百八十五あり、寮生トップだ。
対するハット男は峰清龍。
暗く穏やかな瞳と憂鬱げな口元。
伸ばしっぱなしの黒髪は肩で跳ね上がっている。
清龍は持っていた携帯を仕舞いながら低い声で云った。
「蘭がコメントしていたが、女が二人に男が一人。腹黒と天然とやんちゃバカだってよ」
「ははっ。蘭らしいわ。ま、会ってみなわからんね。せや、茜と司は?」
「寮に直行した。汐里アニキの飯が恋しいって叫びながら」
「弟子やもんな……司は」
二人は厭きれ顔で笑う。
「清。お前はどこに用があるんや」
誰もいない玄関に入る。
靴を脱いで裸足のまま階段に向かう。
清龍はポケットに手を入れて答えた。
「屋上で煙草」
岳斗が狐目を更に細める。
「相変わらずやんな」
「ガクは?」
「部室に置いといたもん取りに」
カンカン。
二人の足音だけが鼓膜に響く。
最後の一段に足をかけたとき、廊下の陰から集団が現れた。
先頭は二年の漆山だ。
「あっ、ども。先輩方おかえりなさい」
「おう」
後ろの女二人は誰だ。
「あら。奇遇ね、ガクに清」
「ガク二世みたいに言うなや。誰? その二人。新入生?」
最後尾から出てきた蘭が答える。
「ええ。かんなと……薫よ」
ぺこりと二人の女の子が会釈する。
「……な」
後ろにいた清龍の動揺が岳斗にだけ伝わった。
彼は帽子を深く被り直して端に寄った。
不審に思いながらも岳斗は特に追求せず、四人が降りていくのを見送った。
足音が完全に階下に消えてから清龍を見つめる。
「なんや?」
「何が」
「とぼけんな。あのかんなって新入生見たとき目逸らしたやろ」
「……気づくなよ。人違いだ」
「誰なんや」
清龍は無言で階段を上る。
「おい」
「どうでもいいだろ」
残された岳斗は溜め息を一つ吐いてから部室に足を向けた。
校門のコンクリートをブラウンの革靴が踏みしめる。
青年は欠伸をしながら校舎を見上げた。
「久しぶりやんなあ?」
後ろの男が黒いハットを少しずらして相づちを打つ。
「今年の新入生は三人らしいぞ、ガク」
「へえ……はよ顔見たいわ」
ガクと呼ばれたのは三年の錦岳斗。
額が見えるくらいの短髪に狐目。
身長は百八十五あり、寮生トップだ。
対するハット男は峰清龍。
暗く穏やかな瞳と憂鬱げな口元。
伸ばしっぱなしの黒髪は肩で跳ね上がっている。
清龍は持っていた携帯を仕舞いながら低い声で云った。
「蘭がコメントしていたが、女が二人に男が一人。腹黒と天然とやんちゃバカだってよ」
「ははっ。蘭らしいわ。ま、会ってみなわからんね。せや、茜と司は?」
「寮に直行した。汐里アニキの飯が恋しいって叫びながら」
「弟子やもんな……司は」
二人は厭きれ顔で笑う。
「清。お前はどこに用があるんや」
誰もいない玄関に入る。
靴を脱いで裸足のまま階段に向かう。
清龍はポケットに手を入れて答えた。
「屋上で煙草」
岳斗が狐目を更に細める。
「相変わらずやんな」
「ガクは?」
「部室に置いといたもん取りに」
カンカン。
二人の足音だけが鼓膜に響く。
最後の一段に足をかけたとき、廊下の陰から集団が現れた。
先頭は二年の漆山だ。
「あっ、ども。先輩方おかえりなさい」
「おう」
後ろの女二人は誰だ。
「あら。奇遇ね、ガクに清」
「ガク二世みたいに言うなや。誰? その二人。新入生?」
最後尾から出てきた蘭が答える。
「ええ。かんなと……薫よ」
ぺこりと二人の女の子が会釈する。
「……な」
後ろにいた清龍の動揺が岳斗にだけ伝わった。
彼は帽子を深く被り直して端に寄った。
不審に思いながらも岳斗は特に追求せず、四人が降りていくのを見送った。
足音が完全に階下に消えてから清龍を見つめる。
「なんや?」
「何が」
「とぼけんな。あのかんなって新入生見たとき目逸らしたやろ」
「……気づくなよ。人違いだ」
「誰なんや」
清龍は無言で階段を上る。
「おい」
「どうでもいいだろ」
残された岳斗は溜め息を一つ吐いてから部室に足を向けた。