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もうLOVEっ!ハニー!
第6章 思惑先回り
「取ってみろよ」
「先輩こそ打ってみろよ」
 周りの新入生が空気の変化に後ずさる。
 二人の世界がそこに積み上がっていた。
 岳斗は飄々と自分のコートにディフェンスとして戻っていた。
 全生徒の視線が早乙女兄弟に注がれている。
 奇しくも苗字が同じ二人としか映ってはいないが。
 この中に真実を知るのは何人いるんでしょう。
 華海都寮のメンツだけでしょうか。
 タンッ。
 飛び立つ音と、曲線を描くボール。
 ギリギリ三点エリアから放られた茶色い球が空を裂く。
 審判が笛を咥えた。
「……入る」
 清龍が低く呟くと同時にボールが枠をくぐり落ちた。
 喝采が爆発する。
 先制点は在校生チーム。
 悔しそうにするかと思いきや、無表情でつばるはボールを受け取った。
 仲間にパスしながらこばると並走する。
 もう二度と入れさせねえ。
 そんな声が聞こえるよう。
「おーおー。熱くなっちゃって」
 一年からボールを奪った岳斗が低いドリブルで駆ける。
 一閃のように瞬く間にゴール下に辿り着いた岳斗が、その身長を活かして誰も届かないジャンプをすると、ボールを枠内に叩きつけるように入れた。
 足が地面に付く前に拍手が館内を包む。
 彼はウインクしながらつばるに指パッチンした。
「……むかつく」
「楽しくやろうや」

「わーお。流石ガクちゃん」
 美弥が笑顔で言った。
「新入生相手にダンクかますー?」
 そういいながらも賢も釘付けだ。
「これは凄い試合だな」
 清龍の言葉につい頷いてしまった。
 だってそうですもん。
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