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わたしの心が消えるとき
第5章 それぞれの夜
渚は、さらに泳いだ。

前方に水煙が沸き上がった。
その中から、タコの触手のようなものが、うねりながら現れる。

不吉な感じがした。

触手は、背後からも渚に迫る。
渚は上に向かって逃げる。

触手が追ってきて、脚に絡んだ。
海溝のような暗い裂け目に引きずりこまれた。

離して…恐い…!

触手は四肢に巻き付き、少女の体を大の字に広げた。
動けない…

目の前に、巨大な顔が、浮かび上がる。
男…老人だ…
猿のような、醜いシワだらけの顔…白い髭…

知らない顔だが、どこかで見たような気もする。

下の方から、渚の脚ほどの太さの触手が、ゆっくり上がってくる。
それは変形して、巨大な男根になった。
少女の股間に近づく。
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