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わたしの心が消えるとき
第5章 それぞれの夜
「沢田真由です。お世話になります!」
真由は玄関口で、ペこりと頭を下げた。

渚の祖母は、にこやかな顔で
「いらっしゃい。ゆっくりしてくださいね」

それにしても…
本当に普通の家だね…

それが渚の家についての、真由の感想だった。

渚にまつわる噂のひとつに、すごいお金持ちだという話しがある。清華の生徒なら珍しい事ではないが。

真由もなんとなく、そうではないかと思っていた。
家もすごい豪邸のイメージがあった。
そんな事はないと、ほのかから聞いていたが…

真由の家より少し大きいが、意外に古くて別に変わったところはない。

渚は
「あたしの部屋、二階だよ」
靴を脱ぎ捨てて、廊下を歩いていく。
「おじゃまします」
真由はサンダルを揃えながら、改めて祖母を見上げた。

落ち着いた、上品な感じの人…
それに、思ってたより若く見える。歳はいくつかな…
ほのかの言う通り、優しそうな人でよかったけど…
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