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わたしの心が消えるとき
第6章 偽りの恋
画面では、顔中シワだらけで髭を生やした老人が、たくさんのマイクを向けられて話していた。
『私も、もう年だからね。若い人に譲らなければ…。世代交代ですよ』

画面端にテロップ。
『厚生労働大臣 徳松源一郎』
渚は、なぜかその顔に見入ってしまった。

「渚、どうしたの?」
いつの間にか、真由が横にいた。
渚はつぶやいた。
「あたし…この人知ってる…」

真由もテレビを見て
「そういえばボクも…どこで見たっけ…」
しばらく考えていたが
「そうだ!この前、お父さん達と街に買い物に行ったんだ。その時、この人が演説してた。お父さんが言ってたけど、この町の出身の国会議員だって」
「この町の…?」
「きっと渚も、そういうの見たんじゃない?」

違う…もっと間近に…目の前で…
この人は…

渚は頭痛がしてきた。
だんだん、ひどくなる。
何かが外に出ようと暴れている。
封印されている何かが…
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