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わたしの心が消えるとき
第7章 迷いの海、夏休みの終わり
会社の経営が苦しいのは、不景気のせいだけではない。
それでもうまくやっている会社は、いくらでもある。
ひとえに俺の力不足だ。
そのために大切な従業員の生活も脅かしている。

美帆にも苦労をかけた。
小さな町工場の家なんて、嫁ぎ先としては条件が悪い。
俺も40過ぎまで独身だった。
そんな俺の許に美帆は来てくれた。俺を愛してくれた。
ふたりの子供を産んでくれた。

その頃から経営は芳しくなかった。
俺は逃げるように現場に入り浸り…
面倒な経理は全て妻に押し付けていた。
会社も家庭も育児も、美帆ひとりに背負わせてしまった。
過労で倒れ逝ってしまうまで…

あの子達から大切な母親を奪い去ったのは俺だ。
なのに、真由も貴志も俺を責めなかった。
あの子達は本当にいい子に育ってくれた。
美帆のおかげだ。

そんな子供達が淋しさのあまり、あんな事をしてしまっても…
俺にはそれを責める資格はない。
全部、俺が悪いんだ。
あの子達も苦しんでいるのだ。
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