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わたしの心が消えるとき
第8章 最後の野獣
「渚!?」
「渚ちゃん!!」
真由とほのかは同時に叫んだ。

渚はこちらを見ていたが、虚ろな表情で、ふたりに気付いていない。
「渚!!どうしたんだよ!」
「何かされたの!?ねえ、しっかりして!!」

部屋は広く、豪華な装飾が施されていた。
窓はない。
ベッドの真上の天井には、巨大なシャンデリア。
壁も床もベッドも、赤を基調にした紋様だ。
壁の前には、等身大の石膏の女神像が並んでいる。
たしかに豪華だが、悪趣味な感じもある。

ドアはひとつだけ。
それが今、ゆっくりと開いた。

男がひとり、入ってきた。
こちらも全裸だ。

その姿を見た真由は、激しい嫌悪感を感じた。
ほのかも同じだった。
あまりにも異様だ。

背は高い。
顔は、老人だ。
シワだらけで、猿のようだ。
長い白髪をオールバックにして、白い顎髭を生やしている。
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