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私、普通の恋愛は無理なんです
第5章 サイドストーリー✦香織視点1
ちゅっ……。
プツプツとホッペのヒゲが顔を出した固くて冷たい頬に唇を寄せた。ドクンドックンと私の脈拍が自分の身体の中で反響する。
「ああ……北山、スマンな……」の部長の声に身体が固まった。息を止める。しばらくして、部長の寝息が聞こえて少しホッとした。
ビールの空き缶が散乱した廊下を片付けた。汚れた食器で埋もれたテーブルの上には離婚届と書いてある紙が無造作に置かれていた。奥さんの名前だけが書き込まれた――。