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私、普通の恋愛は無理なんです
第9章 病院
『ああん……、部長……』
鼻にかかって甘えるような女の子の声。部長というのは里井部長のこと? にちゃにちゃと粘りが混ざり合うような意味深な音。その音が耳元で聞こえたと思えば、今度は音がだんだん遠ざかってゆく。あれは、たぶん香織の声。
ああ、香織…………?
音はピ、ピッという規則的な電子音に変わってゆく。テレビで見たことがある心電図の機械の音。
私は白い天井をぼんやりと見ていた。アルコールの臭い。
なんで……。
周りを目だけでなぞった。親指ほどの小さな透明な筒の中に滴ができて、音も立てずポツと落ちる。一つ、またひとつ。それを静かに数える。
鼻にかかって甘えるような女の子の声。部長というのは里井部長のこと? にちゃにちゃと粘りが混ざり合うような意味深な音。その音が耳元で聞こえたと思えば、今度は音がだんだん遠ざかってゆく。あれは、たぶん香織の声。
ああ、香織…………?
音はピ、ピッという規則的な電子音に変わってゆく。テレビで見たことがある心電図の機械の音。
私は白い天井をぼんやりと見ていた。アルコールの臭い。
なんで……。
周りを目だけでなぞった。親指ほどの小さな透明な筒の中に滴ができて、音も立てずポツと落ちる。一つ、またひとつ。それを静かに数える。