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メンタリズムな恋…
第8章 先生、帰るから待ってて
教授がクスクスと笑う。
ますます恥ずかしくなる私は赤くなる顔を両手で覆い隠す。
「三好君も女の子だねえ…。」
「からかわないで下さい…。」
「からかってなんかいないよ。キャンパスじゃ勉強よりも遊びや恋愛に夢中な学生が多く居る。三好君も多少ならばそういう青春を楽しんで良いと僕はずっと思ってたからね。」
「恋愛とか…、苦手です。」
「それは相手の心理がわかるからか?」
教授にそう聞かれて答えに困る。
教授の言う通り…。
相手の考えがわかると私はその恋愛に冷めてしまう。
自分の考えに同意して貰えないもどかしさや、価値観の違いを感じると恋愛対象として見えなくなる。
そうやって冷めてしまった私に更なる恋愛を求める人は居なくなる。
「今は恋愛よりも事件の解決が先です。」
教授にこれ以上はからかわれるのはごめんだと思う私の意図を教授は理解してくれる。
「仕事に戻りなさい。」
「戻れますか?」
私の不安を教授に聞く。
「当然だよ。君の仕事は彼を見張る事だ。」
力強い教授の言葉にホッとする。
私はまだ彼の傍に居られる。
「送って下さいますか?」
「始めからそのつもりだよ。君は僕の大事な助手なのだからね。」
「ありがとうございます…。」
焼肉屋を出て教授の車に乗る。
西日が私と教授を赤く染める。
街も何もかもが赤く染まる。
まるで血の色のように…。
怯えてなんかいられない。
戦うのだと決めたから…。
だから、あの人のところへ帰りたい。
私には魔法の鳥が必要なの。
パズルのピースはまだ揃わない。
最後のピースを求めて私は帰る。
あのボロ雑巾が私の求める答えを素直に答えてくれるかだけが不安になる。
絶対に聞き出してやる。
私のメンタリズムなんか通用しないとわかってても大和 幸之助から答えを得なければと焦る気持ちを押さえる事が出来なかった。