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メンタリズムな恋…
第9章 先生、逸れないでね
「石井の共犯は…、父親?」
先生に確認する。
私の質問に先生が悲しげな顔をする。
「そうだ。そして自分の息子の狂気と戦う事が出来なかった弱い人間だ。」
吐き捨てるように先生が呟く。
確か、石井の父親は検察官だと片桐さんが言ってた事を思い出す。
「法を守り、罪人の裁きを求める側の人が自分の息子の為にその信念を曲げたの?」
「その通りだ。石井の父親はこの事件の後に検察庁を辞職し、事件現場である自宅を売り払い、息子を入れた病院の傍で余生を送る事になる。」
余生…。
父親は先月、他界した。
先生はその全てを知ってるらしい。
「ねえ、先生…。」
石井の事について、もっと聞こうと質問しようとすると先生が私の頬にキスをする。
「今夜はもう終わりな。」
先生が辛そうな表情で私を見る。
「終わり?」
「夜ももう遅い。直に日付けが変わる。」
そんな時間になってる事にすら気付いてなかった。
「なら続きは明日?」
そう質問する私に先生が肩を竦める。
「明日は神戸に行かないか?」
話を誤魔化すように先生が言う。
「先生は神戸に行きたいの?」
「行く約束をしたろ?」
でも私は早く全てを思い出したい。
焦りを見せる私に先生がゆっくりとキスをする。
指先で頬を撫で、唇が唇を喰み、舌と舌を絡ませて深く私を感じさせる。
「んふぁ…。」
それは私を溶かすキス…。
頭が何も考えられずに真っ白になる。
チュッ…。
唾液が溢れた私の唇で先生がリップ音を奏でる。
「それとも、今からベッドに行くか?」
ふわふわとソフトな触り方で先生の手が私の胸をパジャマの上から揉みしだく。
身体中に電気が流れ出す。
先生の与える快感の波に呑み込まれる気がする。
ここから先の記憶に私がアクセスする事を嫌がる素振りを見せる先生に弄ばれてる気分だった。