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メンタリズムな恋…
第13章 先生、冷たいよ
先生が軽く頭を振る。
それは辛い過去を振り切るように…。
「親父と石井の居る病院に行った。」
先生が呟く。
石井の父親は自分の手に負えない息子をまだ中学生の先生に押し付ける。
「親父の言い方では石井は母親に洗脳を受けたと言うんだ。石井の母親という人は教育に厳しく、常に『人に使われるのでなく人を使う側の人間になれ。』と教える人だったらしい。」
「なんか…、偉そう…。」
「母親って、そんなもんだろ?俺だってキリストだと言われて育ったぞ。」
「うちのお母さんはそんな事を言わないもん。」
「良いお母さんだな…。」
些細な事でも先生がホッとしたように息を抜き笑ってくれるだけで嬉しいと思う。
それほどまでに先生の家族の話は辛すぎて私までもが泣きたい気持ちになる。
石井は母親のせいで心が壊れたと父親は主張する。
母親の教えを歪んだ形で受け止めたメンタリストだと先生が言う。
「石井がメンタリスト!?」
「多分な…、本人に自覚がない。犯罪者の多くが自分がメンタリストだと自覚を持たない。」
先生が険しい表情をする。
メンタリストの自覚を持たずにメンタリズムを悪用する側の人…。
石井は自分のメンタリズムで人を支配する。
学校では支配した学生を利用する。
「宿題をやらせたり…、わかりやすく言うならジャイアンだな。」
「先生…、ジャイアンを知ってるんだ。」
「中国でも人気あるからな。」
くだらない話しなければ先生の心の痛みが私に伝わって私の心が壊れそうに感じる。
「幾ら人の支配が出来るジャイアンでも、自分で勉強してない奴は高校や大学には行けない。」
石井は母親が望む道からどんどんと遠ざかる。