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メンタリズムな恋…
第13章 先生、冷たいよ
そんな石井と先生が対峙する。
病院の面会室。
「お前もか…。」
初めて会うはずの石井から先生はそう言われる。
「お前もか?」
私には石井の言葉の意味がわからない。
先生も眉を寄せて困った顔を私に見せる。
「正直に言うと俺にもわからなかった。」
当時は中学生の先生…。
石井の父親は黙ったままの人だった。
話は一方的に石井が話す。
「お前が俺の玩具を逃がした。」
先生によく似た顔の石井が顔を歪ませてニタリと嫌な笑顔を先生に向ける。
それを思い出す先生が軽く身震いする。
先生の恐怖を和らげる為に先生の手を強く握る。
「玩具?」
「亜子の事だ。アイツには恐怖しか感じなかった。狂気と恐怖…。それに支配…。」
私の顔を見て先生が感じた恐怖の話を続ける。
その段階で既に、父親が石井の支配を受けてるのだと先生は気付いた。
「親父を連れて逃げる事だけを考えた。逃げる俺にアイツは最後にこう言った…。」
先生が私に縋りしがみつく。
「亜子を殺すと…、俺の目の前で八つ裂きにして殺してやると…。亜子が何処にいようと探し出して俺に亜子の最期を見せてやるとアイツは笑ってた。」
「冗談じゃないわ!?」
「冗談じゃない…。アイツは本気だった。亜子は自分のモノだと俺に言い切った。」
「狂ってる。」
「いや、狂ってない。アイツには亜子を完全に支配してる自信がある。」
「支配は解けたわ。」
「どうかな?俺にはわからない。」
メンタリストは万能ではないから…。
病院から逃げ出す事しか出来なかった幼き先生が、数日後に河合教授と出会う。
先生はメンタリストである教授に助けを求める。
「メンタリズムを学びなさい。」
教授は未完成なメンタリストを完璧なメンタリストに導く役目を担う。
「教授が…。」
「俺をアメリカの大学に推薦してくれた。俺が1人前のメンタリストになりメンタリズムを自由に使えるようになる為に…。」
いずれ石井と戦う日がもう一度来ると教授と先生は予想してた。