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メンタリズムな恋…
第13章 先生、冷たいよ
顔が熱くて先生の方を見られない。
先生の言う通りだよ。
私は先生が好きで好きで堪らない。
先生も同じ気持ち…。
私のメンタリズムがそう感じる。
事件が終われば私は貴方の女になる。
大和 幸之助の女に…。
頭からポンッと湯気が上る気がする。
「うひゃぁんっ…。」
変に浮かれて叫んじゃう。
「おかしな声を出すな…。」
「だってえ…。」
顔のニヤケが治まらない。
幸之助の彼女だよ。
幸之助の…。
アメリカに帰っちゃうの?
事件が終われば?
「先生…。」
「ん?」
「事件が終われば…、アメリカに…。」
「帰るよ…。」
私の心臓を鉄の槍が串刺しにする。
「帰っちゃうの?」
「当然だろ。」
そりゃ、そうですけど…。
いきなり遠距離恋愛を突き付ける先生の言葉が冷たく感じる。
「たまには帰って来るんだよね?」
不安に押し潰されそうになる。
「さあな…、今は事件にだけ集中しろ。」
FBI捜査官、大和 幸之助の冷たい返事…。
カッコいいけどさ…。
ボロ雑巾の方がまだ優しさを感じる。
「幸之助…、冷たい…。」
ちょっとくらい優しくしてよ。
メンタリストである先生は私の言葉の些細な感情を感じ取る。
だから少しだけ優しい言葉を期待する。
笑って私の為に日本に帰って来ると言って欲しい。
「くだらない事を言うなら、亜子はここで降ろすぞ。」
先生が車を停めようとする。
「えっ?やだ。」
「集中しろと俺は言った。集中が出来ないなら亜子を連れてはいけない。」
先生の言葉に泣きたくなる。
なんで?
くだらない事じゃないもん。
ちょっとくらい優しくしてくれてもいいじゃん。
泣きそうな私を乗せた車は無言のまま走り続ける。
過去へ…。
過去へ…。
気付けば私の記憶にある山道を走ってた。