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メンタリズムな恋…
第13章 先生、冷たいよ
アメリカに居た先生の元へ一通の葉書が来たと先生が言う。
「葉書?」
「石井からだ。そこには『自由』の一言だけが書いてあった。」
慌てて先生は河合教授に連絡する。
河合教授が石井の居た病院などの確認に当たる。
石井は既に退院した後…。
「だから当初の予定では俺だけが石井と接触する予定だったんだ。」
しかし、石井の姿が見当たらない。
先生と河合教授は万が一の為を考えて私の保護を警察に要請する。
「後は亜子の知っての通りだ。片桐が亜子の保護は出来ないと言い、俺は石井の事を調べる為に神奈川の実家に行こうとしてスピード違反で捕まった。」
「スピード違反は先生が悪いんでしょ?」
「罰金は亜子が経費から出しといてくれよ。」
「なんで私が!?」
「俺は亜子の為に慌てて日本に来た。だからドルしか持ってない。」
この男だけは…。
怒るよりも呆れて笑っちゃう。
「その前に…、私が一度、学生寮に帰った時に神戸へ行こうとしてたのは何故?」
「理由は言った。肉まんが食いたかっただけだ。」
「本気で私を守る気あるの!?」
「あるよ。亜子は俺の女だ。それだけは絶対に忘れるな。」
先生がニヤリと笑う。
俺の女って…。
「勝手に決めないでよ。」
「決めてない。亜子は俺が好きで堪らない。」
「そんなのわかんないわよ。」
「わかるよ。俺にしか見せない顔をするからな。」
ちょっとドキリとする。
彼はメンタリスト…。
私の些細な表情も見逃さない。
再会した日から私が先生に期待した顔をしてた事を見逃すはずもなく、1人で百面相をしてた自分が恥ずかしくなって来る。