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メンタリズムな恋…
第1章 怪しいバイトの始まり



美しいキャンパス…。

おしゃれなカフェ…。

憧れの大学ライフ…。



には到底、掛け離れた学生に見える私がカフェの前で人を待つ。


「亜子(あこ)、お待たせー。」


ヒラヒラと柔らかな栗毛の髪を靡かせた沙莉奈(さりな)が私に向かって手を振る。


「沙莉奈、遅いよ。」

「だって、亜子ってばいきなり変なメッセージを送って来るんだもん。」

「なんかあればいつでも沙莉奈に言ってって言ってたじゃん。」

「確かに言ったけどねー。」


軽い口調の沙莉奈が私の顔を覗き込む。

小さなおちょぼ口を尖らせて私の目をじっと見るのが沙莉奈の癖だ。


「とにかく…、お願いします。」


私はそんな沙莉奈に頭を下げてカフェに入る。

お目当ては温野菜のグリルとハンバーグという本日のランチ…。


「本当に、これでいいの?」


沙莉奈が心配そうに私の顔を見る。


「うん、これがいいの。」


私は親の敵を見るようにして本日のランチと書かれたメニューを睨み付ける。

テーブルを挟む形で沙莉奈と座り注文を済ませれば沙莉奈が私をじっと見る。

沙莉奈はいつも真っ直ぐに人見る子だ。

真っ直ぐで素直で誠実な子…。

そんな沙莉奈が


「やっぱり…、お金を貸そうか?」


と不安気な顔で私に聞く。

本音を言うならばお金は喉から手が出るほど欲しいとは思う。

だけど…。


「それは断る。返せるかわかんないし…。」


真っ直ぐな沙莉奈だから私も正直に答える。


「バイトのアテは?」


沙莉奈が更に聞いて来る。


「前の家庭教師はお払い箱にされたもん。」


お目当てのランチが私の前に置かれると正直な私のお腹がキュルキュルと変な音を奏で出す。


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