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メンタリズムな恋…
第17章 先生、未来へ向かおうよ
イブの朝…。
私は沙莉奈と新幹線に乗る。
「神戸に亜子は行った事があるの?」
沙莉奈が不思議そうに私を見る。
「河合教授のバイトの時にね。日帰りになっちゃったけど少しだけ神戸に来たの。」
「夏のバイト?」
「そうだよ。」
「そこで何があったの?」
「ある人と出会った。」
一気には話せない。
話せば私の胸の奥が抉られたように痛くなり、言葉が詰まり息が出来なくなる。
沙莉奈は私の表情を見ながら慎重に質問する。
「片桐さん?」
「片桐さんも…、あの人が居たから会えた人。」
「片桐さんは河合教授の知り合いって言ってたよね?河合教授が警察に協力してるから…。」
「河合教授と片桐さんともう1人…、そこにはメンタリストが居たの…。」
「その人はメンタリストなの?」
「うん…、世界最高峰のメンタリスト…。」
言葉が詰まり呼吸が不安定になる。
目を閉じて自分の気持ちを落ち着かせようと深呼吸を繰り返す。
質問攻めにしたと沙莉奈が私の背中を摩る。
「亜子…、ゆっくりでいいよ。今夜は神戸で泊まる予定だからね。」
不安定な私はマリアを思わせる沙莉奈の穏やかな笑顔に縋り付く。
沙莉奈が居てくれるから私は大丈夫…。
気持ちが落ち着けば沙莉奈と普通に話をする。
「よくホテルが取れたね。」
「イブだからねー。パパに頼んだ。」
「沙莉奈パパにありがとうって言っといてね。」
「パパは亜子がお気に入りだから大丈夫。私がまともに大学を卒業出来るのは亜子のお陰だってホッとしてるくらいだよ。」
沙莉奈が可愛らしい唇を尖らせる。
毎年毎年、留年するかもと騒いだ沙莉奈だったけど無事に就職も卒業も決まり最近では私よりもしっかりしてると感じる時が多い。