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メンタリズムな恋…
第17章 先生、未来へ向かおうよ
「沙莉奈が頑張ったからだよ。」
私の言葉に沙莉奈が嬉しそうにはにかむ。
「亜子にそう言われるのが一番嬉しいよ。卒業してもずっと一緒だからね。」
変わらない親友の約束を沙莉奈と交わす。
沙莉奈が居てくれるから笑える。
私が気持ちに落ち着きを取り戻せた頃に新幹線は新神戸駅へと到着する。
ここからはバス…。
あの日を思い出しながら同じ道を辿る。
貴方の背中を今も私は追ってる。
駅を出てから、ずっと隣りに居るのは沙莉奈のはずなのに私の目には幻の背中だけが見えてしまう。
「亜子?」
沙莉奈が私の手を握る。
「中華街にね…、美味しい肉まんがあるんだ。」
沙莉奈の心配を払拭する為に笑顔で言う。
「肉まん?」
「食べたらわかるよ。」
訝しむ沙莉奈を連れて中華街へ向かう。
空が灰色に淀む寒い日…。
中華街の手前にある商店街からはジングルベルのメロディーが流れクリスマスムードが漂う。
中華街では観光と思われるカップルがはしゃいでる。
私と沙莉奈も観光気分で少し浮かれて街を歩く。
お目当てのお店で肉まんを買う。
沙莉奈は1つだけを買い、私は持ち帰り用と自分用に2つ買う。
「2つも食べるの?」
「1つはこの肉まんが好きな人の所へ届けるの。」
「この神戸に亜子の知り合いが居るの?その人が亜子の出会った人なの?」
「冷めちゃうから肉まんを食べようよ。」
沙莉奈の質問をはぐらかして肉まんにかぶりつく。
沙莉奈も諦めた表情で肉まんを食べる。
「やばっ…、美味しいっ!やっぱり寒い日は熱々の肉まんとか美味しいよね。」
肉まんを頬張る沙莉奈が嬉しそうに笑う。