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メンタリズムな恋…
第19章 先生、帰ろう
「教授…、言うだけ無駄ですよ。幸之助はそうやって人の心を弄ぶだけです。」
救急箱を持ち冷静な態度で教授に忠告を促す。
「それでも三好君は片桐君よりもこんな大和君が良いと?」
教授が幸之助を親指で指差しながら聞いて来る。
幸之助は平然としたままコートを脱ぎ教授に包帯の状況を診せる。
私は苦笑いして肩を竦めるしかない。
片桐さんを良い人だと思う気持ちに変わりはない。
なのに私のメンタリズムはダメンズである幸之助と繋がりを求めてしまう。
「無職の男なんかに…。」
教授がため息を吐いて呟く。
「無職!?」
驚きで幸之助を見れば
「無職じゃねえよ。無期限の停職を受けただけだ。」
と幸之助が不貞腐れた表情で教授を見る。
「それを日本では無職と言うんだ。」
幸之助の身体に巻き付けられた包帯を外しながら教授が言う。
「なんで?停職に?」
「撃たれたからな。」
「撃たれただけで停職とかならないでしょ!?」
私の質問に幸之助が嫌な顔をする。
答えたくない時の表情だ。
その代わりに教授が
「アメリカの政府組織では職員が銃で撃たれた場合、PTSDなどの後遺症を考えてカウンセラーの許可が出てからしか仕事に復帰が出来ない仕組みになっている。そのカウンセラーに対して素直じゃない大和君は復帰許可が下りないんだよ。」
と説明をしてくれる。
「なら、素直にカウセリングを受ければ良いだけですよね?」
「そもそも大和君は就職時に初期カウセリングを受けて失敗してるからね。その時は無理矢理に日本でカウセリングを受けてると誤魔化して就職に成功した。悪いが今回はその協力を僕はするつもりがないよ。」
教授が幸之助の左肩の傷口を乱暴に消毒する。