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メンタリズムな恋…
第19章 先生、帰ろう
教授から受ける仕打ちに幸之助が悶絶する様を眺めながらざまあと笑顔を向けてやる。
私を睨みながらも幸之助は教授のかなり乱暴な治療に歯を食い縛り痛みを痩せ我慢する。
なるほど…。
としか言い様がない。
神の子のくだらない痩せ我慢にため息が出る。
痛いのに痛いと素直に言わない人…。
そもそも就職の段階でアメリカのカウンセラーから幸之助にはPDSTがあると判断されていた。
多分、父親と石井の事が原因だろう。
痛みや苦痛を感じずに他人を容易に切り捨てる事が出来るという辺りが被害者の生命を軽んじる可能性があると判断されても仕方がない。
その危険はないと日本でのカウンセラーを担ってた教授の助言で一度だけは誤魔化した。
今回の停職に対して教授は協力する気がない。
幸之助の根本を治療しようと教授は考えてる。
私はどうすべき?
幸之助が痛みを理解して治療すれば幸之助は再びアメリカに帰ってしまう。
それは、あれだけ苦しんだ喪失感を私も再び味わう事になる。
それでも…。
やはり私はメンタリストだ。
だからこそ教授は院に進みカウンセラーとしての資格を取れと私に言う。
教授が幸之助の治療を終え、ゆっくりと口を開く。
「お昼にしよう。せっかくの料理が冷めてしまう。」
幸之助は無言のまま私だけを見る。
私は幸之助と同じように無言のまま幸之助を見ずに教授の行動に従う。
幸之助を見ずに冷静に考えたい。
教授とテーブルに着けば教授が幸之助を見る。
「大和君も食べなさい。まずはしっかりと食べて体力を取り戻し怪我を治すのが先だよ。」
教授が幸之助にもテーブルに着くように促す。
幸之助が警戒する表情を浮かべる。
「教授、幸之助は何故、普通の食事を嫌うの?」
幸之助と居た夏。
幸之助はいい加減な食事しかしなかった。