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メンタリズムな恋…
第20章 先生…
玄関でお母さんが戸惑いの表情をする。
「お…、かえり…。」
その戸惑いに幸之助は緊張する。
母の戸惑いは夏に見た幸之助とのギャップ…。
夏の幸之助は流し目の貴公子…。
今の幸之助はボサボサの髪に黒縁メガネ、ヨレヨレのダッフルを着たボロ雑巾…。
「夏に会った大和 幸之助さんだってば…。」
「本当に夏に会った人?」
お母さんは何度も幸之助をチラ見する。
「間違いなく同じ人。てか幸之助の事でお父さんに話があるから…。」
「亜子の彼氏って話なら夏に聞いたわよ?」
「その話とは全然違うからね。」
いつまでも玄関でグズグズとお母さんの相手をしてはいられない。
靴を脱ぎ、無理矢理に嫌がる幸之助を家の中へと連れて入る。
リビングではお母さんと同じ戸惑いの表情を幸之助に向けるお父さんが居る。
似た者夫婦…。
幸之助の変貌に目を丸くするお父さんに笑いが込み上げて来る。
「亜子…。」
「夏に会った大和さんだよ。」
「うん…。」
お父さんが落ち着かないから幸之助も落ち着かない。
「とにかくお母さんとお父さんに大事な話があるからお母さんはコーヒーを入れて…。」
合意に幸之助をリビングにあるソファーに座らせてから私は4人分のコーヒーカップを用意する。
慌てた素振りでお母さんはお湯を沸かす。
我が家のコーヒーはアメリカン…。
苦いのが苦手な家族は薄いコーヒーしか飲まない。
幸之助の好みは知らない。
幸之助には私の家族の好みを押し付ける。
コーヒーとお茶菓子の用意が終わる頃にはお母さんが少しづつ落ち着きを取り戻す。
「それで、今日はいきなり何?」
お父さんの隣に座り聞いて来る。