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メンタリズムな恋…
第20章 先生…
私はお父さんの向かいに座る幸之助の隣に座ってコーヒーカップに口を付ける。
「帰省しに来たの…。」
「亜子の場合は寄生でしょ?大和さんもなの?」
お母さんの嫌味…。
自分が困った時にしか実家に帰って来ない娘だと私の両親は考えてる。
「うん…、幸之助もだよ。だって幸之助は18年前の少年だから…。」
私の言葉でお母さんが驚愕した表情へと変化する。
青ざめて怯えた表情をするお母さんを庇うようにお父さんが抱き留めて私を睨む。
「亜子…。」
「大丈夫だよ。お父さん…。18年前の事はうちの家族の中でずっとタブーだったって…、今の私ならちゃんと理解してるからね。」
「思い出したのか?」
「うん…。夏に起きた泥棒騒ぎは18年前の誘拐事件が関係してたの。」
「あの事が…。」
怯えるお母さんの為にお父さんが慎重に話をする。
石井の話…。
まずは石井の父親が幸之助の父親だという部分を省いて話を進めてく。
「なんて身勝手な。」
話を聞き、お父さんは石井に対する恐怖よりも怒りを露わにする。
お母さんだけが怯えたまま…
「もう、その人は居ないの?」
と次の事件が我が家と娘に降りかからない事ばかりを気にする。
「うん…、石井はもう居ないよ。」
お母さんの不安を取り除きながらも私は次の段階へと話を進める。
「その18年前に私を救った中学生が幸之助。夏の時も私を助ける為に日本へ帰って来てくれた。」
私の話にお父さんが頷く。
「あの少年へお礼がしたいと警察には何度も連絡をしてたんだ。だけど未成年だからという理由で少年の身元を教えては貰えなかった。」
お父さんが懐かしげに幸之助を見る。