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メンタリズムな恋…
第21章 怪しい恋の始まり
春になり桜が散り、私の新たな大学生活が始まった。
院に進んだ私の居場所は河合教授の研究室。
「進んでる?」
私の机の前に山積みになる論文の向こう側から教授が聞いて来る。
「英語じゃなければ進みます。」
出来るだけ多くの論文と統計資料に目を通したくとも英語という壁が私の前に立ちはだかる。
「そこは、うちの新人に頼るしかないね。」
教授が含み笑いをして言う。
今年から来た新人…。
教授の助手兼大学講師という立場になる人がこの春から教授の研究室にやって来た。
お陰で私は教授の助手を解任され、自分の勉強だけに集中しなさいと教授から言われる。
「で…、うちの噂の新人は何処に行った?」
教授が他の院生にも聞く。
「大学の方で講義中じゃないですか?」
「昼からの講義で使う資料のコピーを彼に頼んでたんだが…。」
「あの人…、まだうちの研究室のコピー機が使いこなせないみたいですよ。」
「何の為の助手だか…。」
教授の嘆きが聞こえる。
「コピーなら私がやります。」
結局、私が助手を買って出る。
「三好君は論文を…。」
「どうせ昼休みでランチに行きますから論文は後回しにしてコピーくらいやりますよ。」
「三好君の為に雇ったのに…。」
河合教授がため息を吐く。
私が研究室に入れば教授の助手ばかりを優先するかもしれないと考えた教授が雇った新しい助手。
居ないものは仕方が無いと論文を見るのを止めて教授の資料のコピーをする。
「教授、資料は机に置いておきます。」
コピーを済ませて研究室を出る。
少し早いが大学構内のカフェに向かう。