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メンタリズムな恋…
第21章 怪しい恋の始まり



「アパート借りる。だから…、俺と一緒に練習してくれないか?」


もうランチなんか食べられない。

涙だけがボタボタとテーブルに落ちる。


「そんなに嫌か!?」


幸之助が変な声を出す。


「幸之助の馬鹿ぁ…。」

「学校じゃ先生と呼べ…。」


不貞腐れる幸之助が私の手を離して窓の外へゆっくりと視線を逸らす。


「明日、アパートを見に行く。」


幸之助が呟く。


「いってらっしゃい…。」


明日はお休み…。


「亜子も行くんだよ。」

「明日は片桐さんに誘われてるもん。」

「片桐との交際は認めません。」


お父さんのような口調で言う幸之助に吹き出して笑う。

片桐さんは幸之助と別れた私を慰めてくれてただけだ。

明日も大学講師として帰って来た幸之助と研究室で一緒に居ると辛くないかと心配して食事に誘ってくれただけ…。


「幸之助も一緒に行こう。」

「俺は片桐なんかに会いたくない。」

「片桐さんにご飯奢って貰えると節約になるよ。」


私の言葉に幸之助が嫌な顔をする。


「お前…、なんか…、せこくないか?」

「幸之助のお給料だと私の負担が大きいもん。」

「ならテレビに出る。」

「出るな。」

「なんで?」

「ライバルが増えるだけだから…。」

「なんのライバルだ?」


一般常識は全く理解が出来ない幸之助…。

この恋愛はまだまだ怪しいとしか言えない。

それでも私は私の為の魔法の鳥が欲しいと思う。

もう一度…。

魔法の鳥である貴方を私という籠に入れてから、私は魔法少女へと変身する為に未来へ向かうのだと心に決める。


「亜子…、日本じゃコンドームって何処で売ってる?」


カフェを出た幸之助が無神経に聞いて来る。


「コンビニでも売ってるわよ。」


恥ずかしいから幸之助に背を向けて歩き出す。


「んじゃ、亜子が買っといてくれ。」

「なんで私が!?」

「俺の金、全部亜子が持ってる。」


やっぱり、この魔法の鳥を捨てたいとか考える。

この人と居る限り、私の心に平和な時は来ないと思う。

最低で最悪なメンタリスト…。

私の怪しい恋愛は始まったばかり…。




fine…



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