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メンタリズムな恋…
第21章 怪しい恋の始まり
ただ、いつもみたいに黙々と幸之助はランチを口に押し込んで食べ続ける。
「お金を私が下ろせばいいの?」
「いや、亜子が俺の金の管理をする。どうも俺って金の使い方がわかってないらしい。」
「お金だけじゃないでしょ?教授の助手のくせに、未だにコピー機も使えない。ATMも使えない。」
「うん、だから亜子が全部やってくれ…。」
唐突な話に固まった。
幸之助は平然とランチを食べ終えると紙ナプキンで呑気に口元を拭ってる。
「早く食わないと不味くなるぞ。」
私のランチを指差す幸之助…。
「あんたが変な事を言うからでしょ!?」
泣きたい気分になる。
なんで、この人は…。
忘れようとしてた幸之助…。
あの日、私から幸之助と別れたのに…。
平気な顔をして幸之助は帰って来る。
「俺、変な事を言ったつもりはねえよ。」
眼鏡の奥で優しい瞳が笑ってる。
なんで、笑えるの?
私の心の痛みをメンタリストである幸之助はちゃんとわかってるはずなのに…。
幸之助がゆっくりと私の手を握る。
「なあ、亜子。お前はいきなり俺の家族になりたいと言った。でも、俺には誰かと家族になるって意味がわからない。」
幸之助なりに悩んでくれた。
「そんで、教授に言われた。家族になる前に練習する時間が必要だと…。メンタリストになる為に人の心の動きを見る練習するのと同じだってな。」
少しづつ、ゆっくりと、メンタリストじゃない私にでもわかるようにと幸之助が話をしてくれる。
初めて聞いた幸之助の本音…。
いつも、幸之助の気持ちがわからずに私だけが苦しんでたのに…。
今日の幸之助は私の為に必死に話す。