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メンタリズムな恋…
第4章 先生、油断大敵です
不意に肩を叩かれた。
座り込んだまま振り返る。
「三好さん、こっちへ。」
片桐さんが私を立たせて手を引いてくれる。
人集りはまだ警察発表を期待して奈々ちゃんの家へと群がってる。
片桐さんは人集りから抜け出して奈々ちゃんの家の裏側にある畑の方へと私を導く。
そこは先生の車を停めた場所。
「亜子…。」
白い帽子を被る先生の姿が車の後ろから現れる。
「先生っ!」
片桐さんの手を振り払い先生に駆け寄りシャツを握れば先生が私の頭を軽く叩く。
「俺が居るのがバレると騒ぎが大きくなって困るらしい。直ぐに車で移動するぞ。」
先生が私に車の鍵を寄越せと言う。
「僕の車について来て下さい。」
片桐さんが小さな声で言う。
「先生っ!」
「話は後な。早く車に乗れ…。」
先生に急かされて車の鍵を先生に渡す。
片桐さんも自分の車に乗り私と先生も小さな赤い車へと乗り込んだ。
片桐さんの車は普通の乗用車にパトランプが付いてる車だ。
そのパトランプがクルクルと回り出し、ゆっくりと畑の畦道から発進する。
私と先生はそのパトランプを追いかける。
「奈々ちゃんは?」
運転する先生に確認する。
「救急車で直ぐに点滴を受けた。今はお母さんが付き添ってるから大丈夫だろ。」
「先生は救急車に乗ってたんじゃないの?」
「救急隊員から帽子を借りてお母さんと入れ替わりに救急車から降りたんだ。」
そこから直ぐに奈々ちゃんの家に入り、奈々ちゃんの家の裏側に移動した。
あの大和 幸之助が居るとマスコミにバレたら騒ぎが大きくなると先生は自分の姿を隠すしかない。
だから普段はボロ雑巾男なのかとなんとなく勝手に納得する。