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メンタリズムな恋…
第4章 先生、油断大敵です
先生は奈々ちゃんを見つけ出して救ってくれた。
それだけで満足した気分になる。
本物の大和 幸之助が私の目の前に居る。
私の心がワクワクする。
河合教授、ありがとうー!
このバイトのやり甲斐が見えて来る。
車は山間を抜け街に出た。
片桐さんの車はもうパトランプを止めてる。
2台の車は小さなビジネスホテルの前に停まった。
「今夜はこのホテルに泊まって下さい。」
片桐さんが説明する。
警視庁や他府県から捜索応援に来た警察関係者は全員がこのホテルに泊まってるらしい。
フロントで手続きを済ませた片桐さんが私にカードキーを渡してエレベーターに向かう。
「僕は6階に泊まってますから何かあれば電話を下さい。お2人には明日、事情聴取の為に昼からでも警視庁の方へ来て頂く事になります。それまではゆっくりとしてて下さい。ホテルのチェックアウトは昼まで大丈夫にしてあります。」
エレベーターが上昇する間に一方的な早口で片桐さんが話をする。
「それでは、おやすみなさい。」
6階で片桐さんがエレベーターを降りた。
私と先生は12階らしい。
黙ったままエレベーターに乗り続ける。
もうすぐ日付けが変わる。
長い1日だったと思う。
こんな日が来るなんて…。
大学じゃ変わり者の地味な女の扱いだった。
その私が今はあの大和 幸之助と居る。
このバイトが私の人生で一番素晴らしいものだとまで思えて来る。
エレベーターを降りて自分のカードキーに書かれた番号の部屋の前に向かう。
先生は黙ったまま私について来る。
「先生も今日はお疲れでしょ?自分の部屋に行って下さい。」
私の部屋の前まで来た先生にそう伝える。